風の長者さま(辻田三樹恵,1978年12月24日)に、同タイトル名のお話があり「このお話かもしれない」ということであらすじを書いてみます。
昔ある村に、歩くとドンドンと足音がする坂があった。以前この辺りは沼で、すっかり眠っていたナマズが逃げおくれて坂の中に閉じ込められていた。だから、坂の上を人が歩けばくすぐったくてドンドンと笑い声を立てていたのだった。
そして、このドンドン坂の上には村唯一の寺があり、そこには強欲な和尚がいた。金持ちからだけではなく貧乏人からも喜捨(お金)をふんだくり、沢山の小判を床下の壺に隠していた。
ある時、どういうわけか人が歩いてもドンドン音がせず、人が来たことに気が付かなかった和尚が、ニヤリニヤリと銭勘定している様子を村人に目撃されてしまった。村人は沢山の小判に驚いて、大声でわめきながらドンドン坂を駆け下りた。
その声を聞いたナマズは、にわかに起き上がり坂を破って寺に向かった。そして、和尚に臭い息をはきかけて和尚を気絶させ、坂の中に埋めてしまった。ナマズは強欲和尚に成り代わり、貯め込んでいた小判を村人たちのためにどんどん使った。
一方、坂に埋められた和尚は悔しくて地団太踏むものだから、相変わらず坂を歩けばドンドンと音が鳴っていた。ナマズは村人たちに良い事をしてあげられたので、すっかりご機嫌ではあったが、小判が底をついた頃にちょうど大往生の日がやってきた。きっと村人たちは悲しんでくれるだろうと思ったが、金の切れ目が縁の切れ目、誰も寺を訪ねてくれるものはいなかった。
(紅子 2012-5-5 23:32)
ナレーション | 未見のため不明 |
出典 | クレジット不明 |
出典詳細 | 風の長者さま,辻田三樹恵,晴文社,1978年12月24日,原題「ドンドン坂の和尚」 |
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