昔、ある夏のこと、日照りが何日も続いて水がなくなってしまった。
山鳩と蜂のハチ太郎も一緒に水を探していたが、水はどこにもなかった。二匹が疲れて休んでいると、どこからともなく水のにおいがした。
そこには井戸があった。山鳩は井戸の持ち主であるお百姓に「一滴でもいいから、水を恵んでほしい」と頼んだ。
最初は「大切な水だ」と拒否していた百姓であったが、「自分はいいから、弱っているハチ太郎にだけでも水を分けてほしい」と懇願する山鳩に感心し、ハチ太郎と山鳩の両方に水を分け与えた。山鳩は大変感謝して、このご恩はいつか必ず、と言ってハチ太郎とともに去って行った。
そして、その数日後に雨が降り、田んぼや畑は潤った。ところがそのあと、害虫が大量に発生してしまい、村人たちは困ってしまった。
そこへ山鳩と蜂の大群が押し寄せて、害虫をみんな退治してしまった。害虫退治が終わると、山鳩とハチ太郎は水を分けてもらった、お百姓のところにあいさつに来た。この時にお百姓は、山鳩と蜂が恩返しに害虫退治をしてくれたのだと知ったのであった。
去っていく山鳩とハチ太郎に対して、何度も礼をいうお百姓であった。その年は大豊作であったという。
(投稿者: カケス 投稿日時 2013-10-27 19:24 )
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | 石崎直義(未来社刊)より |
出典詳細 | 越中の民話 第一集(日本の民話35),伊藤曙覧、石崎直義、佐伯安一,未来社,1963年09月20日,原題「山鳩と蜂の恩がえし」,採録地「下新川郡」,話者「道下ハル、久我由次郎」 |
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