昔、ひょうたんのような山のふもとに、貧しい爺さんと娘が住んでおりました。二人はその山に田んぼを作っていましたが、近くの淵に住む河童が田の水をすっかり抜いてしまいました。
爺さんは淵から水を運んでみたが、焼け石に水で、途方に暮れていました。しょんぼりしている爺さんの前に、河童が現れ「おまえの娘を嫁にくれれば水を引いてやる」と持ちかけました。
翌日、約束通り田んぼには水が入り、枯れかけていた苗も元通り元気になりました。 爺さんは河童との約束を果たすべく、娘にわけを話して嫁に行ってもらうようお願いしました。 泣いて頼む爺さんに、快く河童の所へ嫁入りすることを決心し、大きなひょうたん持って淵にでかけました。
淵に着いた娘は、「まず先にこのひょうたんを淵の中へ運んでください」と河童にお願いしました。しかし、その大きなひょうたんの浮力はすごく、河童はどんなに頑張っても淵の中に沈める事が出来ませんでした。河童は仕方なく娘を嫁にもらう事をあきらめ、田の水を抜いたのは自分だと白状し、淵の底へ逃げ帰っていきました。
それからというもの、河童はいつも田んぼに水を引いてくれるようになり、稲も丈夫に育つようになりました。娘はそのお礼にと、河童の大好物のきゅうりを淵に流してあげたそうです。
(紅子 2011-9-2 23:07)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 松岡利夫(未来社刊)より |
出典詳細 | 周防・長門の民話 第一集(日本の民話29),松岡利夫,未来社,1960年09月14日,原題「かっぱとひょうたん」,採録地「都濃郡、佐渡郡」,話者「松村武蔵、久行繁、原田勇一」 |
場所について | 和田村の話かも(地図は適当) |
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