昔、ある村にじい様とばあ様が住んでいました。大晦日の雨が降る夜、二人の家の戸口を叩く旅人たちがいました。
旅人たちは全員で七人。雨宿りをさせてくれ、とドカドカ上がり込んだ旅人たちは、囲炉裏の火にあたりながら遠慮なく休んでいました。しかし雨が上がらず、やむなく旅人たちは二人の家に泊まることになりました。
この旅人たちは、何か食わせろとか酒が飲みたいとか、好き勝手な事を言いましたが、二人は正月用の餅を出したりお酒をふるまったり、いやな顔をせずおもてなしをしました。旅人たちは歌ったり踊ったりと、楽しく過ごしました。
翌朝、雨も上がり、旅人たちは挨拶もそこそこに旅支度を始めました。急ぎ足で出ていく旅人たちの一人が「これをお礼に」と、何でも望みが叶う打ち出の小槌を置いていきました。実は、この旅人たちは七福神だったのです。
二人は、試しにお正月用の餅をお願いしてみると、打ち出の小槌からお正月セットが出てきました。そこで今度は「子供が欲しい」とお願いすると赤ん坊が出てきました。それからの二人は、最後のお願いは子供のためにいつまでも残し、親子三人で仲良く幸せに暮らしました。
(紅子 2011-12-29 2:02)
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | 湯浅良幸(未来社刊)より |
出典詳細 | 阿波の民話 第一集(日本の民話08),湯浅良幸、緒方啓郎,未来社,1958年06月15日,原題「正月の神さん」,採録地「阿波郡」,話者「川村武夫」 |
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