阿波の民話 第一集(未来社,1958年06月15日)に、同タイトル名のお話があり「このお話かもしれない」ということであらすじを書いてみます。
昔、料理の上手なカカとケチな亭主がいて、贅沢だからと美味い料理を作らせなかった。
ある日、亭主が遠出し、これ幸いとボタ餅を作ったが、亭主は出掛けたフリをしてカカの様子を窺っていただけだった。亭主が何食わぬ顔で「いま帰ったぞ」と戸口に入ると、ボタ餅を食いかけたカカは大慌て。お櫃にボタ餅を隠し、素知らぬ顔で出迎えた。「今日は鼻?かざみというもんを習ってきた。どれ…」と亭主は嗅ぎ始め、お櫃の中のぼた餅を言い当て、カカは驚いた。
早速、カカは「うちの亭主は何でも嗅ぎ当てる」と村中に触れて回り、その話はやがて大阪鴻池の番頭の耳にも届いた。ちょうど名刀が盗まれたこともあり、頼みにやっきた。亭主もさすがに逃げ出そうとしたが、なるようになれと腹をくくった。
そして、鴻池の玄関をくぐると、下女が亭主の足を洗いに来た。しかし、何か言いたげに亭主の顔を何度も見る。亭主が尋ねると、「御見通しでしょうが、名刀を盗んだのは私です。今は台所の釜の中に…」と白状した。「分っとる。お前のことは誰にも言わんよ」といい、客間に通された亭主はかざみのふりをして、下女が言った隠し場所を告げた。番頭が確認すると刀はあり、亭主はたんまりと褒美をいただいた。
さてと帰る支度を始めると、お侍がきて、「今、京の公方様が病に伏しておる。その原因をかざんでもらいたい」と言ってきた。国に急用がと言っても聞き入れない。しぶしぶ京に向かうが、道中で日が暮れたので、八幡堂に泊まることになった。
夜中に声がして亭主が起きると、八幡様が「公方の病はどうじゃ」と鳥に聞いており、鳥は「妾が御殿の柱の下にガマ七匹とヘビ七匹を生き埋めにし呪い殺そうとしてる」と言う。これはイイことをと亭主は喜んだ。翌日、御殿でかざむふりをした亭主は、「柱の下にこういうものがある。それを掘り出すがよい」と告げると、柱の下からガマとヘビの入ったツボが出てきた。逃がしてやると、公方様の容体も回復した。
亭主はたくさんの褒美を手にし、かざみの名人として評判を高くしたそうだ。
(投稿者: araya 投稿日時 2012年1月22日 1:58 )
ナレーション | 未見のため不明 |
出典 | クレジット不明 |
出典詳細 | 阿波の民話 第一集(湯浅・緒方,未来社)によると、採録地は採録地は三好郡辻町との事。 |
備考 | 舞台は、阿波・大阪・京都と移りますが、時代は「京都の公方さん」とありますから、室町からある民話でしょうかね。 |
場所について | 三好郡辻町(地図は適当) |
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