ある村に一人の男の子が産まれたが、その子は大人の小指ほどの大きさしかなかった。それでも両親は一寸法師と名付けて可愛がったが、何年経っても少しも大きくならなかった。
ある日、一寸法師は京に行って侍になると言い出した。両親は止めるが、決心が固いので、仕方なく針の刀とお椀の舟を用意して一寸法師を送り出した。何十日かしてようやく京の都に着いた一寸法師は、三条の大臣の屋敷に行き仕官を願った。大臣は小さな体なのに元気な一寸法師を見て気に入り、一人娘の春姫の家来として仕えるようにと言った。
それから何年か経ったある日、都を騒がしている赤鬼があらわれ、清水寺へお参りに行った帰り道の春姫をさらおうとした。他の家来たちは腰を抜かしたり逃げ出したりする中、一寸法師だけは鬼の前に立ちふさがって春姫を守ろうとした。しかしあっけなく鬼につままれて、食べられてしまった。
ところが一寸法師がお腹の中で針の刀でつつきまわるので、さすがの鬼も二度と乱暴しないから許してくれと嘆願し、泣きながら逃げていった。春姫は鬼の忘れた打ち出の小槌で、一寸法師の体を大きくした。
鬼退治の手柄を認められて名を堀川少将と改めた一寸法師は春姫と結婚し、故郷の両親も都に呼んでいつまでも幸せに暮らした。
(稿: 蔵人 本掲載日2012-8-14 14:32 )
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | (表記なし) |
DVD情報 | DVD-BOX第1集(DVD第4巻) |
場所について | 住吉大社 |
本の情報 | サラ文庫まんが日本昔ばなし第9巻-第041話(発刊日:1976年11月10日)/童音社BOX絵本_第01巻(発刊日不明:1970~1980年頃)/国際情報社BOX絵本パート1-第023巻(発刊日:1980年かも)/二見書房まんが日本昔ばなし第9巻-第33話(発刊日:2006年4月18日)/講談社デラックス版まんが日本昔ばなし第11巻(絵本発刊日:1984年10月15日)/講談社テレビ名作えほん第004巻(発刊日:1977年8月) |
サラ文庫の絵本より | 絵本巻頭の解説によると「京都地方の昔ばなし」 |
童音社の絵本より | 絵本巻頭の解説(民話研究家 萩坂昇)によると「京都府の昔ばなし」 |
講談社のデラックス版絵本より | 「お伽草紙」の中の話の一つです。昔、神が小さな形で人間世界にあらわれて、幸福や財産をもたらすという信仰がありました。そこからうまれたのが、背丈がわずか一寸という「一寸法師」の話です。小さな体にかかわらず、大きな夢と勇気をもった一寸法師は、京の都で乱暴者の鬼を退治し、美しい姫を妻にし、田舎から両親を迎えて幸せに暮らすという一種の出世物語でもあります。どんな願いもかなえてくれる打出の小づちは、庶民のひそかなる願いの象徴といえましょう。(地名の明記なし) |
講談社の300より | 書籍には地名の明記はない |
レコードの解説より | LPレコードの解説によると「京都地方の昔ばなし」 |
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