昔、成願寺の近くに、藤助どんという鉄砲撃ちの男がいました。
ある時、鉄砲を持って歩いていると、10羽の鴨がカギ状になって飛んでいました。藤助どんが先頭の鴨を狙って一発ぶっぱなすと、慌てていたので鉄砲が曲がり飛んでいった弾道も曲がって、全部の鴨に命中しました。鴨はよたよた飛びながら岩井作の山へ落ちていきました。
さっそく鴨を追いかけようと、沖田の田んぼ中を通ってあぜから上がる時につかんだ木の根が、実は兎の足でした。兎は逃れようとガリガリ地面をひっかきまわしましたが、どうにか藤ツルで縛りあげました。ふと気が付くと、着ていた着物の中にさっきの田んぼを通った時であろう、ドジョウが二升くらい入っていました。
ひょいと地面を見ると、さっき兎が地面をガリガリした所から、たくさんの長イモが顔を出していました。大喜びで、長イモを掘りだすとざっと二貫目(約7.5kg)もありました。いよいよ、鴨を取りに行くと、そこには十羽の鴨がきちんと一か所に集まって落ちていました。
それで藤助どんは、たくさんの獲物とご馳走を鉄砲にぶら下げて、ふうふう言いながら家に帰りました。家に帰って鉄砲を放り出すと、筒から大きなウナギが出てきました。これにはもう腰を抜かし、逃げ出したウナギを村中が追いかけまわす大騒ぎになりました。
こんなご馳走を一度に捕まえるのは珍しい、神様のバチが当たらないように、と村人たちみんなでご馳走を作ってみんなでたらふく食べましたとさ。
(紅子 2012-1-28 19:37)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 千葉のむかし話(日本標準刊)より |
出典詳細 | 千葉のむかし話(各県のむかし話),千葉のむかし話編集委員会,日本標準,1973年12月01日,原題「藤助どんの鴨とり話」,文「野口芳宏」 |
場所について | 成願寺や和田山や岩井作エリア(地図は適当) |
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