何をやっても上手くいかない貧しい男が、運を授けて欲しいと観音さまに願掛けをする。すると観音さまが現れ、お堂を出た時に初めて手にした物を大切にして西へ行くようにと言われる。
男はお堂を出たとたん転んで一本の藁を手にする。それを持って西へ歩いていくとアブが飛んできたので、藁でしばって歩き続けた。泣きじゃくる赤ん坊がいたので、藁につけたアブをあげた。すると母親がお礼にと蜜柑をくれた。
木の下で休んで蜜柑を食べようとすると、お金持ちのお嬢様が水を欲しがって苦しんでいた。そこで蜜柑を渡すと、代わりに上等な絹の反物をくれた。男は上機嫌に歩いていると倒れた馬と荷物を取り替えようと言われ、死にかけの馬を強引に引き取らされてしまった。やさしい男は懸命に馬を介抱し、その甲斐あって馬は元気になった。
馬を連れて城下町まで行くと、馬を気に入った長者が千両で買うと言う。余りの金額に驚いて失神した男を、長者の娘が介抱するが、それは以前蜜柑をあげた娘だった。長者は男に娘を嫁に貰ってくれと言い、男は藁一本から近在近郷に知らぬ者のない大長者になった。
(稿: 蔵人 本掲載日2012-8-14 14:33 )
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | (表記なし) |
VHS情報 | VHS-BOX第1集(VHS第4巻) |
場所について | 長谷寺 |
本の情報 | サラ文庫まんが日本昔ばなし第18巻-第086話(発刊日:1977年8月20日)/童音社BOX絵本_第67巻(発刊日不明:1970~1980年頃)/国際情報社BOX絵本パート1-第043巻(発刊日:1980年かも)/二見書房まんが日本昔ばなし第12巻-第48話(発刊日:2006年7月18日)/講談社テレビ名作えほん第020巻(発刊日:1978年1月) |
サラ文庫の絵本より | これは、思わぬ幸運をつかむおはなしの代表的なもので、その原話は鎌倉時代の説話集「宇治拾遺物語」にみることができます。「宇治拾遺物語」は十三世紀初めにつくられたといわれ、民間に語り伝えられた穿設、民話、童話などを集めた滑稽的要素の多い説話集です。ただし仏教的色彩は濃く、この「わらしべ長者」にも、観音様を熱心に信仰すれば、かならず幸せがやってくるという仏教観がよくあらわれています。 観音様のお告げどおり、裸一貫のしがない男が、すべって転んで一本のわらを手にします。その瞬間からどんどん運がむいてきて、わらがミカンに、ミカンが絹の反物に、絹の反物が名馬に、そして最後には…というふうに、この物語は典型的な「だんだん話」の形式をとっています。ここにでてくる観音さまは、大和の国(奈良県)の長谷寺の観音さまだともいわれています。(かっこ枠なし) |
童音社の絵本より | 絵本巻頭の解説(童音社編集部)には地名の明記はないが、祈ったのは「奈良県の長谷寺の観音様」とのこと |
講談社の300より | 書籍には地名の明記はない |
レコードの解説より | LPレコードの解説によると「奈良地方の昔ばなし」 |
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