むかし、ある村に観音様を深く信仰しているお爺さんがおった。ある日のこと、お爺さんがいつものように観音様にお参りに出かけると、観音堂の石段で大きなひょうたんが一つ、かぽんこぽんと転がりながらお爺さんの後をついてきた。
お爺さんがひょうたんを拾い上げると、中から金七と孫七という小さな男の子が飛び出してきて、一緒に連れて行ってくれという。お爺さんは観音様からの授かりものじゃと思うて、二人を家に連れて帰り、お婆さんと一緒に育てることにしたそうな。
次の日の朝、お爺さんとお婆さんが起きてみると美味しそうな朝ごはんができておる。驚く二人に、金七と孫七は、このひょうたんからは何でも好きな物を出すことができると教えてくれたのじゃった。
それからしばらくして、お爺さんは金七と孫七を連れて町の天神様のお祭りに出かけた。そうして金七と孫七が勧めるとおり、富くじを買うてみた。すると、その富くじは大当たりしてしもうたそうな。こうして、お爺さんとお婆さんは何不自由ない暮らしが出来るようになった。
ところがある日のこと、欲張りの馬方がやって来て、ひょうたんと馬を取り換えろとしつこく言うてきた。金七と孫七の勧めもあり、お爺さんはしぶしぶひょうたんと馬を取り換えてやった。お爺さんは、あのひょうたんは観音様からの贈り物だと思っておったので寂しい気がしたが、金七と孫七は、あれはもうただのひょうたんじゃからと平気な顔をしておった。
ひょうたんを手に入れた馬方は早速ひと儲けしてやろうと、お殿様の所へ出かけて行った。そうして、お殿様の前でひょうたんから馬を出そうとしたのじゃが、どんなにひょうたんを振っても何にも出てこんかったんじゃと。おかげで馬方はお殿様から大目玉をくらったそうな。
そうして、お爺さんとお婆さんは金七と孫七を育てながら、いつまでも仲良く暮らしたということじゃ。
(投稿者: ニャコディ 投稿日時 2013-10-9 22:47 )
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | (表記なし) |
DVD情報 | DVD-BOX第4集(DVD第17巻) |
VHS情報 | VHS-BOX第2集(VHS第18巻) |
本の情報 | サラ文庫まんが日本昔ばなし第25巻-第121話(発刊日:1978年10月30日)/国際情報社BOX絵本パート1-第053巻(発刊日:1980年かも)/講談社テレビ名作えほん第031巻(発刊日:1980年11月) |
サラ文庫の絵本より | このおはなしは、別名「宝瓢」とか「夕顔長者」とかよばれて、東北地方に伝わるものです。ひょうたんは、ウリ科の一年草で、夕顔の変種とされ、アフリカやアジアの熱帯地方の原産です。実った果実は中ほどで細くくびれ、そのきみょうな形にひかれた昔の人たちは、中身をくりぬいて、酒や水を入れる器をつくりました。これをひさごともふくべともいいますが、そのかなには神霊がこもるという信仰が古くからあったようです。「宇治拾遺物語」(十三世紀初めごろ)にも、ひょうたんのなかにすむ、いろんな精のことが記されています。ちょっと「アラジンのランプ」に似ていますね。それにしても、おじいさんはすばらしいひょうたんを拾ったものです。「ひょうたんから駒がでた」とは、まさにこのことですね。(かっこ枠なし) |
講談社の300より | 書籍によると「青森県のお話」 |
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