百姓の兄弟がいた。兄は欲張りで大きな家に住み、弟は正直者だったが貧乏だった。
年の暮れに、弟は米と味噌を借りに兄の家に行くが、欲張りな兄は貸してくれなかった。仕方なくとぼとぼ歩いていると老人が声をかけてきた。その老人は弟にこの先の洞穴に行って石でできた動く物を持ってくるようにと言う。
弟は言われるままに、祠のそばの暗い穴蔵に入ると、石臼があったのでそれを持ってでてくた。老人が、「それはなんでも欲しいものが出てくる石臼じゃ。右に回すと欲しいものがでて、左に回すと止まる。」と言って姿を消した。
弟はからかわれているのだろうと思いつつ、石臼を家に持って帰り、さっそく「米、出ろ。米、出ろ。」と言って石臼を回すと、米がどんどん出てきた。こうして弟は裕福な長者になり、他の貧しい人達にも石臼から出たものを分け与えていた。
弟が急に長者になったことに不思議に思った兄は、秘密をかぎつけて石臼を盗み出し、船に乗って海を越えて向こうの国で大金持ちになろうと思った。弟の家から持ってきた饅頭を食べたあと、塩が欲しくなり、さっそく石臼を回して塩を出したが、止め方を知らなかったので、船は塩の重さで沈んでしまった。
今でも石臼は海の底で塩を出し続けているという。
(稿: 蔵人 本掲載日2012-8-14 14:32 )
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | (表記なし) |
本の情報 | サラ文庫まんが日本昔ばなし第8巻-第038話(発刊日:1976年9月20日)/童音社BOX絵本_第72巻(発刊日不明:1970~1980年頃)/国際情報社BOX絵本パート2-第061巻(発刊日:1980年かも)/二見書房まんが日本昔ばなし第6巻-第24話(発刊日:2006年1月24日)/講談社テレビ名作えほん第027巻(発刊日:1978年5月) |
サラ文庫の絵本より | 絵本巻頭の解説によると「岩手地方昔ばなし」 |
童音社の絵本より | 絵本巻頭の解説(童音社編集部)には、地名の明記はない |
講談社の300より | 書籍には地名の明記はない |
レコードの解説より | LPレコードの解説によると「岩手地方の昔ばなし」 |
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