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No.1405
とんびになる
トンビになる

放送回:0893-A  放送日:1993年06月26日(平成05年06月26日)
演出:三輪孝輝  文芸:沖島勲  美術:三輪孝輝  作画:三輪孝輝
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あらすじ

昔、九州は福岡での話。

庄屋どんの所に、茂左(もさ)という作男がいた。この茂左という男、どういう訳かトンビが大好きで、よく松の木のある高台のそばに来ては、トンビを眺めていた。

ある、のどかな春の日、茂左は畑の草取りを終えると、今日もトンビを眺めては、トンビの真似をしながら畑の周りを駆け回っていた。そして、自分もトンビのように空を飛べたら、どんなにか気持ちがいいだろうと思うのだった。

これを見た庄屋の爺さま、ちょっと茂左をからかってやろうと思い、こんなことを言った。

「ワシは、人をトンビにする術を心得ておる。お前は、この松の木のてっぺんに登って、ワシ言う通りにするんじゃ。」

これを聞いた茂左は、大喜びで松の木に登っていった。茂左が松の木のてっぺんに登ると、庄屋の爺さまは、順番に左足、右足、左手を枝から放すよう茂左に言った。茂左は言われた通りにして、今や右手一本だけで松の木の枝にぶら下がっている。

そこで爺さまは、「ついでに右手も放せ~!!」と松の木の下から言った。茂左はこれを聞くと、何の疑いもなく右手を放した。茂左の体は、地面目がけて真っ逆さまに落ちて行く。すると落ちていく最中、なんと茂左は本当にトンビになってしまったのだ。トンビになった茂左は、空の彼方へと飛んで行く。

これを見て驚いた爺さまは、大急ぎで婆さまを呼んだ。爺さまは、自分もトンビになれるのではないかと思い、自分が茂左にしたのと同じように、松の木の下から声をかけるよう婆さまに言った。

こうして、爺さまは松の木のてっぺんに登ると、婆さまに言われた通り、左足、右足、左手を放した。そして最後に、婆さまの言う「右手を放せ~!!」の声で右手を放した。

爺さまは、木から真っ逆さまに落ちるが、どうした訳か今度は何も起こらず、そのまま地面に激突してしまう。結局、爺さまは、しこたま頭をぶつけただけで、トンビにはなれなかったという話だ。

(投稿者: やっさん 投稿日時 2014/4/23 11:31)


ナレーション常田富士男
出典福岡県
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※掲載情報は 2014/4/23 11:31 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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ゲスト  投稿日時 2020/2/15 17:19
「正直者天昇り」やこのおはなしは、よく考えると恐ろしいです。
言われたとおりにしたら、確実に死んでしまいます。
「天に昇った」「トンビになった」は、真実の酷さを和らげるために付け加えられたものなのではないでしょうか?
「信じて行う者に天の助けがある」ということかと思いますが、
自分の性根が腐っているためか、素直に楽しめませんでした。
jr  投稿日時 2017/8/4 19:06
主人公が可愛い。
匿名希望  投稿日時 2014/4/24 11:35
なんか、「正直者天昇り」のストーリーに似てますね!
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