昔、尾張の国の山あいに小さな村がありました。
ある日、田兵衛が近くの沼にクワを洗いに行くと、水面にあやしく不気味な影が映りました。おどろいて逃げ出した田兵衛からこの話を聞いた村人3人が、正体を確かめるためにさっそく沼に行ってみました。
おっかなびっくり沼に到着した3人の目の前に、バサバサッと得体のしれないものが現れて頭上を飛び回りました。悲鳴をあげて逃げ出した3人からこの話を聞いた村人たちは、不安におののきみんなで相談ました。
村人たちは、武芸の達人である坂左衛門に化け物退治を依頼する事にしました。その晩、恐る恐る沼で待ち伏せしていた坂左衛門は、どうにか化け物を弓で射止める事ができました。村人たちは、さすが日本一の達人だ!と感謝して、化け物の正体を確かめるために沼に行きました。
するとそこには、羽のちぎれて飛ぶことができないアオサギが、胸に一本の矢を受けて死んでいました。飛べずに助けを求めていたアオサギを、村人たちは化け物と勘違いしたのです。可哀そうに思った村人たちは、アオサギを手厚く葬りました。
(紅子 2012-4-23 3:13)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 愛知県 |
本の情報 | 二見書房[怪談シリーズ]第4巻_ひゃ~、化け物だ(発刊日:1995年7月25日) |
このお話の評価 | 6.50 (投票数 2) ⇒投票する |
⇒ 全スレッド一覧