昔、群馬の赤城山の近くの山の中に、東の家と西の家の2軒の百姓の家がありました。この2軒の者はひどく仲が悪く、いつも喧嘩ばかりして、お互いに困らせあっていました。
田んぼを耕す季節になった頃。東の者と西の者とで、田んぼの境界線を巡って言い争いが始まりました。少しでも自分の田んぼを広くしようと、畦(あぜ)の位置を東へ寄せたり西へ寄せたりしていましたが、ついには取っ組み合いの喧嘩になる始末でした。
翌朝、東の者がまだ暗いうちから起き出して、畦の位置を調整するため作業を始めました。すると、大ヘビが畦の上で寝ていたので、クワで蛇を放り投げました。
しばらくして、東の者がやってきました。すると、またまた大ヘビが邪魔な場所にいたので、クワで蛇を放り投げました。怒ったヘビは、二人の体に巻きつき、ギュウギュウと締め上げました。
大ヘビに締め上げられ、二人は身動きすらとれなくなりました。大ヘビは「困ったときはお互い助け合い、仲良く生きるように」と諭しました。これに懲りた二人は、その後からは喧嘩をすることもなく、仲良く過ごしたそうです。
(紅子 2013-8-18 22:24)
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | 酒井正保(未来社刊)より |
出典詳細 | 上州の民話 第二集(日本の民話64),酒井正保,未来社,1977年08月30日,原題「蛇に仲だちされた百姓」,採録地「勢多郡」 |
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