越後の民話 第一集(未来社,1957年10月10日)に、同タイトル名のお話があり「このお話かもしれない」ということであらすじを書いてみます。
昔、ある山道に二匹の狐が住んでいた。通る人を化かしては食い物を盗ってたので、やがて誰も通らなくなり、二匹は困って相談した。
「人が通らなくなったら、あぶらげも魚も食えない」
「全くだ。腹が減って仕方がない」
「そうだ。お前、馬になれ。おらは馬喰になる。そして、お前を浦田口の旦那に売って、金儲けをしよう。鼻先は緩く縛っておくから、お前は売られたら縄をほどいて逃げてこい。明日の朝、馬喰に化けて迎えに行くからな」
「よし、分かった」
相談がまとまると、二匹は別れた。それを藪で聞いてたのが本物の馬喰の爺さ。これは面白いことを聞いた。狐どもめ、おらが化かしてくれる。そう言って、朝を待った。翌朝、爺さは暗い中を起き出し、馬喰に化ける狐の穴に向かうと、穴に棒を突き立てて出口を塞いでしまった。そして、馬に化ける狐を迎えに行った。
迎えに来たぞと馬喰が言うと、馬に化けた狐が穴から出てきた。上手く化けたもんだとお互いの化けっぷりを褒めながら、浦田口の旦那の家にやってきた。良い馬が入ったから買ってもらいたいと言うと、大番頭が出てきて品定めをした。確かに良い馬だが、目が狐みたいだなと言うと、馬になった狐は慌てて化け直した。大番頭が旦那に取り次ぐと買っておけとのことで、大番頭は高値で買い取り、馬喰は喜んで帰っていった。
馬になった狐は厩につながれ、食いたくもない草をあてがわれたが、人がいては仕方がないので、しぶしぶ食った。そして、誰もいなくなると逃げ出しにかかったが、鼻先は強く縛ってあり、その綱も厩に固く結ばれ、逃げるに逃げられない。四苦八苦の末、ようやく逃げ出せた狐は山へと帰っていった。
一方、馬喰になるはずの狐はいつまでも夜が明けないので、これはおかしいと出口を見たら棒で塞がれている。なんてことしやがると怒って棒を取り払うと、すでに外は昼になっていた。そこへ、馬になった狐がやって来た。
「おい、おれの鼻先を強く縛って逃げられなくして、金を持って逃げるとはどういう料簡だ」
「ちょっと待て、お前は馬になったのか。おらは穴を塞がれて、いま出てきたところだ」
二匹は顔を見合わせ、これは馬喰の爺さの仕業と気付いた。そして、爺さの家に行くと、二匹は「金よこせ」と大声で騒いだ。爺さは知らんぷりしたが、人目もあるので仕方なく二匹を山へと連れて行き、そこで金を分けた。山で金を分けたので、それから山分けと言う言葉ができたとさ。
(投稿者: araya 投稿日時 2012-5-9 19:03 )
ナレーション | 未見のため不明 |
出典 | クレジット不明 |
出典詳細 | 越後の民話 第一集(水澤謙一,未来社)かもしれない |
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