No.1297
むじなおしょう
むじな和尚
高ヒット
放送回:0820-A  放送日:1991年11月09日(平成03年11月09日)
演出:こはなわためお  文芸:沖島勲  美術:西村邦子  作画:小田利明
山梨県 ) 20351hit
むじなが建長寺の和尚に取って代わり、村にやってくる

昔、山梨は甲府盆地の村々に、鎌倉の建長寺(けんちょうじ)の和尚さまがおいでになるという噂がたった。

和尚さまは、ここ山城村(やましろむら)に逗留することになり、和尚さまがおいでになる前日、村人たちは名主の家に呼ばれた。名主が言うには、和尚さまは犬が苦手なので、犬のいる家は、犬をしっかりつないで置くようにとのことだった。

さて翌日、和尚さまは神輿(みこし)に乗って、物々しい行列を伴って村にやって来た。ところがどうした訳か、和尚さま一行が村に入ると、村で飼われている犬が、けたたましく吠え始めた。和尚さまは本当に犬が嫌いと見えて、神輿の中で震えるばかり。

やがて和尚さまが宿と決めた名主の家に着くと、名主の家ではたくさんの精進料理を作って和尚さまをもてなした。ところが和尚さま、食事を人に見られるのは嫌だと言い、名主のおかみさんに屏風(びょうぶ)を立ててくれるよう頼んだ。こうして食事を始めた和尚さまだったが、食事が終わりおかみさんがお膳を下げに入ると、驚いたことに食べかすはあちこちに散らばり、器はひっくり返され、見るもきたない食べ方であった。

さらに食事の後、名主が記念に書を一筆お願いすると、和尚さまは早速筆を取り何やら書いてくれたが、これが達筆すぎたためか、何が書いてあるのか名主にはさっぱり分からなかった。

さて翌日は、和尚さまが村の寺でお経を上げてくれるというので、村人はこぞって寺に集まった。和尚さまの読むお経は、高く澄んだいい声で、村人たちは喜んで聞き入った。

こうして2日間の逗留も終わり、和尚さまは神輿に乗って名主の家を後にした。ところが、一行が村のはずれの森に差し掛かると、森の中から山犬の群れが飛び出し、和尚の乗った神輿に襲いかかったのだ。お供の者がやっとの思いで山犬を追い払ったときには、もう和尚さまは半死半生の有様だった。一行は急いで名主の家に引き返し、和尚さまを手厚く看病した。

しかし看病の甲斐もなく、やがて和尚さまを息を引き取った。村人たちも大いに悲しみ、その日は名主の家でお通夜をした。しかし翌日、何としたことか、和尚さまの遺体は大きなむじなに変わっている。驚いて鎌倉に使者を出すと、どうやら建長寺の縁の下のむじなが、和尚さまを食い殺し、和尚さまに成り代わっていたというのだ。

このむじなが書いたという書は、今でも山城村の名主の家に残っているという。そしてこの地方では、子供たちのご飯の食べ方がきたないと、建長寺さんのようじゃと言って叱るのだそうだ。

(投稿者: やっさん 投稿日時 1-3-2012 13:01) 


参考URL(1)
http://www.city.kofu.yamanashi.jp/senior/ohanashi/no2/kenchoji.html
ナレーション市原悦子
出典土橋里木(未来社刊)より
出典詳細甲斐の民話(日本の民話17),土橋里木,未来社,1959年03月31日,原題「むじな和尚」,採録地「甲府市緑町」,話者「鈴木つる子」
場所について甲府市の山城地区(地図は適当)
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地図:甲府市の山城地区(地図は適当)
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※掲載情報は 2012/1/3 13:01 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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もぶ  投稿日時 2022/1/25 17:06
村民「建長寺の和尚さんみたいになるよ!!」

建長寺の後継の和尚さん(たぶん大僧正クラス)「えええぇぇぇぇ・・・・」
アーリアジャスール2世  投稿日時 2020/5/16 12:36
狸和尚に似てるけど、こっちはかじ屋のばばあや赤猫同様になりすます人を食い殺しているね。
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