昔、海での話。どの魚も、太陽の光が温かく差し込む海の上の方に集まって泳いでいました。そのため海の上の方がいつも混雑して、よく魚同士のぶつかり合いが起こっていました。
そこである日、体の小さい魚は上の方に、大きい魚は下の方に分かれて住もうと皆で相談しました。しかし、下の方に住まないといけなくなるカレイとヒラメだけは納得せず、この取り決めに従いませんでした。カレイとヒラメは上の方に住む小さな魚たちに乱暴し、ますます好き勝手に泳ぎ回りました。
あまりの暴れっぷりに怒った他の大きな魚たちは、カレイとヒラメを追いかけまわしました。カレイとヒラメは必死で逃げまわり、すきを見て海底の砂の中にもぐって身を隠しました。そうして砂の中にもぐり続けているうちに、現在のような目が片側に寄った平べったい姿になってしまいました。
今でもカレイとヒラメは、他の魚に見つかっては大変と、海底の砂の中から目だけを出して辺りを見回しているそうです。
(紅子 2011-10-30 20:22)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 「美方稿」より |
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