昔、ある所に太郎と言うどうしようもない怠け者がいた。 いつもぶらぶら歩いていて、畑仕事はまったくやらない。
ある日、太郎は道端で小さな壷を拾う。壷の中には小さな男が入っていて、その男が太郎の家へ連れて行ってくれと言うので、太郎はその壷を家へもって帰る。次の日、太郎はいつも通りぶらぶらして家へ帰ってみると、家の中で男が一人寝ている。
何者だと尋ねてみると、昨日壷の中に入っていた小さな男だと言う。そうなのかと納得し、又次の日も太郎は一日ぶらぶらして過ごした。そうして家へ帰ってみると、壷の中に入っていた男が又一回り大きくなっていた。そんなこんなで数日が過ぎ、ついに男は家にぎゅうぎゅうに詰まるほど大きくなった。
そんな時、近所の人が田植えを手伝ってくれと太郎に頼み、太郎は田植えを手伝うはめになった。手伝いをして家へ帰ってみると、壷の中にいた人は昨日よりは少しだけ小さくなっていた。それから次の日も又次の日も、太郎は近所の田植えの手伝いをした。
そんな日々をすごしていると、拾ってきた男はどんどん小さくなっていき、やがて元のように壷の中に納まってしまうほど小さくなってしまった。壷のなかの男が言うには、このままだと小さくなりすぎて消えてしまうので、元のように壷に入れて道端に捨ててほしいと。太郎は可哀想に重い、男の言う通り壷を道端に捨てた。
この事があってから、太郎は打って変わって働き者になったという話だ。
(引用/まんが日本昔ばなし大辞典)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 松岡利夫(未来社刊)より |
出典詳細 | 周防・長門の民話 第一集(日本の民話29),松岡利夫,未来社,1960年09月14日,原題「何にもせん人の話」,採録地「美弥郡、大津郡、豊浦郡」,話者「白木静男、小林勇三、高野五平」 |
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