昔ある年の夏、小さな村で毎日日照りが近付き、田んぼや畑は枯れ始め、村人はほとほと困りはてていた。
そこで、皆で竜神さまの池へ行って祈っていると、池の中から竜神さまが現れた。村長が雨を降らしてくれるよう竜神さまに頼むと、竜神さまは「へその串焼き」を持って来たら雨を降らせてやると言う。それを聴いて村人達は驚いた。へそを取られたら死んでしまう。村人達はまた難題を抱えてしまった。
村でも評判のイタズラ者のさんきちは、妙案を思いついた。さんきちは村長と村人達を山の池へ連れて行った。その池には大きな「タニシ」が育っており、さんきちは腹が減るとそのタニシを取って串焼きにして食べているのだという。そしてその串焼きはへその串焼きにそっくりなのだと言う。
それで早速タニシをたくさん取り、大きな釜でゆで、中身を取り出して串焼きにした。すると本当にあのへその串焼きにそっくりなものが出来上がった。村人達はそれをお重に詰め、竜神さまの元へ持って行った。
竜神さまとその子供は、タニシの串焼きを食べてみた。子供はとても喜び、竜神さまもこのへその串焼きはうまいと言って、約束通り雨を降らせてくれた。田や畑は潤いを取り戻し、村人達は救われた。
このこと以来、あのタニシの串焼きがあまりにへそにそっくりだったため、この辺りの地名のことを「田べそ」と言うようになったそうだ。
(引用/まんが日本昔ばなし大辞典)
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | 京都の昔ばなし(三丘社刊)より |
出典詳細 | 里の語りべ聞き書き 第02巻,川内彩友美,三丘社,1986年07月10日,原題「田べそ」 |
場所について | 与謝郡与謝野町字三河内(地図は適当) |
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