昔ある山里に、年取ったお爺さんとお婆さんが住んでいました。二人は貧しくとも仲良く、正直で気の優しい老夫婦でした。
今日もお爺さんは、裏山にあるちっぽけな畑を耕していました。すると、どこからか子ザルが現れ、お爺さんの様子をそっと草むらから見ていました。子ザルに気が付いたお爺さんは、お弁当の焼き餅を一つ分けてあげましたが、どうも子ザルは元気がない様子でした。
子ザルは、手振り素振りで一生懸命に元気のない理由を説明しました。するとどうやら、家族が腹痛で寝込んでいるので心配してる、という事でした。そこでお爺さんは、いつも持ち歩いていた腹痛の薬を子ザルに渡し、手振り素振りで家族に飲ませてあげるように伝えました。子ザルはお爺さんの趣旨がわかったようで、大喜びで薬を持って森の中へ帰って行きました。
それからしばらくしたある日の事。いつものようにお爺さんが畑を耕していると、急な雨が降ってきました。木の下で雨宿りをしていると、あの子ザルが現れ、お爺さんの手を引いて自分の家へ案内しました。
森の奥深くにある猿の家では、子ザルの母親が待っていました。母猿は、薬のお礼にと沢山のご馳走を用意して、お爺さんをもてなしました。そして帰りしな、お爺さんに一つの枡を手渡しました。
この枡はとても不思議で、お米を量るとむくむくと増え、お米が減る事はありませんでした。おかげで二人は一生不自由することなく、暮らすことができたそうです。
(紅子 2012-11-18 23:28)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | (表記なし) |
このお話の評価 | 9.00 (投票数 3) ⇒投票する |
⇒ 全スレッド一覧