昔々、まだ神様が地上に住んでいたころのこと、あるところに、たいそう悪戯好きなカラスが居ました。カラスは、狸の取った魚を横取りしたり、兎の掘った芋を盗んだり、猿を驚かして木から落としたりと毎日悪い事のし放題でした。
そのころは、みんな困った事があると神様に相談していました。神様のところに集まった動物は、次から次へと神様にカラスのひどい仕打ちを話し、神様に何とかして欲しいとお願いしました。神様は、カラスを諭しましたが、カラスは「みんなが困るのを見るのがすきなんだ」といい、神様の髪とひげをみんな抜いてしまいました。
それから、しばらくたってのことです。どうした風の吹き回しか、あの悪戯カラスが神様のところへやってきたのです。カラスは神様に「嫁をもらって、一緒に住む巣をかけようと思うのだが、今年の風の具合を教えてくれ」と言いました。
神様は少し考えて「今年はあまり風が吹かない」と、あべこべの事を言いました。カラスはそれを聞くと、神様に礼も言わず飛び出しました。そうして、嫁と一緒に一番高い木の一番てっぺんの所に巣を作りました。
ところが、強い風が吹き始めました。カラスの巣は風に吹かれて揺れに揺れました。カラスにはただただ慌てながら巣の周りを飛び回ることしか出来ません。神様はこうでもしないと、カラスには人が困ると言う気持ちが分からないだろうと考えたのです。
だから、今でもカラスは、風があれるまえになると、巣が壊れるのを心配して梢の周りを無き騒ぐようになったということです。
(引用/まんが日本昔ばなし大辞典)
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | 平野直「すねこ・たんぱこ」より |
出典詳細 | すねこ・たんぱこ 第二集(日本の昔話04),平野直,未来社,1958年3月31日,原題「烏」,採録地「陸中北上更木」,話者「平野丑之助」 |
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