昔、ある村の外れにすごい怪力だがバカで何もしない兄と、本が大好きで賢いが弱くてなにもできない弟がいた。こんな兄弟をみて、父親は神様がもう少しうまい具合に知恵と力を二人に分けていたらと嘆いていた。
有る時、父親は兄弟を連れて山仕事に出かけた。仕事がひと段落して昼飯をとった後、兄弟は昼寝をはじめた。ところがしばらくすると、兄の鼻からは虻(あぶ)が、弟の鼻からは蜂(はち)が飛び出した。
ここで父親は、人が寝ている間にその魂が生き物の姿を借りて脱け出るという話を思いだし、慌てて虻と蜂を戻そうとしたが、二匹は戻る相手を間違ってしまった。
兄弟が昼寝から目覚めると、結果として二人ともに怪力の知恵者になってしまい、弟が投げ飛ばした木材を兄が組み立てて、山のてっぺんに三重の塔を建てた。
父親の願いが天に通じたのか、二人の長所が合わさったのだ。そしてそれ以後も、父親ともども兄弟は末永く幸せに暮らしたという。
(投稿者: jerald 投稿日時 2011-11-25 18:17)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 水澤謙一(未来社刊)より |
出典詳細 | 越後の民話 第二集(日本の民話70),水澤謙一,未来社,1978年09月25日,原題「魂のいれかわり」,採録地「中魚沼郡津南町外丸」,話者「福原ミン」 |
場所について | 新潟県中魚沼郡津南町外丸(地図は適当) |
このお話の評価 | ![]() |
⇒ 全スレッド一覧