滋賀県の伊吹山(いぶきやま)の西北にある青梅山小梅山(おうめ山こうめ山)には、良い木がいっぱい生えていたので、この辺の人々は薪(まき)や炭を作って暮らしていた。
炭は、かいづみ焼きという方法(生木を切りすぐに燃やして炭を作る方法)で作るのだが、沢山の木を使う割にはあまり炭はできなかった。そのため、青梅小梅の木はすっかり伐採され、いつしか山は丸坊主になってしまった。
ある年の冬の事、村人が空き家になっている屋敷の庭の井戸に、一人の女がいるのを見かけた。この美しい女は雪女郎で、井戸の水をくみ上げては捨てくみ上げては捨て、を何度々も繰り返していた。村長は「これは村が洗い流される事を予言しているのではないか」と考え、さっそく夜のうちに東側の小高い丘に村人たちを集めた。
やがて朝になり、ハゲ山から大きな地響きとともに雪崩が起き、村々を飲み込み家を押しつぶしていった。雪女郎の予言通りとなり、きっと山の木を切り過ぎて山の神様が怒ったのだろう、と考えた村人たちは、それからは木を切った後は苗を植えるようになった。今では、青梅小梅はたくさんの立派な大木がしげる山になった。
(紅子 2011-11-23 0:44)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 滋賀県 |
場所について | 大梅小梅の山か?(地図は適当) |
本の情報 | 二見書房[怪談シリーズ]第1巻_お化けがでたあ~(発刊日:1994年5月25日) |
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