昔々、群馬の赤城の山にたくさんの鬼がおった。大きいの小さいの合わせて100匹以上。なかでも赤鬼と青鬼がめっぽう力が強かった。どんな勝負をしても勝敗が付かんがった。年に一度お祭りの日、勝負を付けておった。
ある年、赤城の東に住む赤鬼は東の里で豊作だった山芋をたらふく食って力を付けた。一方、赤城の西に住む青鬼は西の里で豊作だった山芋をたらふく食って力を付けた。どちらも自分が一番力持ちだと思っていたし、今年こそ相手の鼻をあかそうと思っていたのでした。
祭りがやってきました。赤鬼青鬼大勝負の日。黒鬼の行司で相撲が始まった。いい勝負でなかなか勝負が付かない。必死で組み合っていたがどちらも困ったことに屁をしたくなった。屁で力が抜けては負けてしまう。
更に必死に組み合っていたが、黒鬼のかけ声で同時におならが出てしまった。食いに食った山芋のせいでそれはもうすごい屁だった。回りで応援していた小鬼たちもみな吹き飛ばされ、土煙とともに里の方へと飛んでいった。それはからっ風で飛んでくる木の葉のようにも見えたそうな。
それからも、秋になるとどっちが強いか決めたくて、赤鬼と青鬼は何度も勝負をするんじゃが、いまだに決着が付かないそうです。こんな歌があります。「赤城山から鬼がけつふん出して なたでぶっきるような屁をたれる~略」
(投稿者: みけねけ 投稿日時 2012-6-17 15:03 )
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 群馬のむかし話(日本標準刊)より |
出典詳細 | 群馬のむかし話(各県のむかし話),群馬昔ばなし研究会,日本標準,1977年08月01日,原題「赤城のへっぷり鬼」,採録地「山田郡大間々町」,話者「須藤りん」,再話「須藤益三郎」 |
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