No.1044
かんたのまくら
カンタの枕
高ヒット
放送回:0658-B  放送日:1988年07月16日(昭和63年07月16日)
演出:又野龍也  文芸:沖島勲  美術:安藤ひろみ  作画:又野龍也
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あらすじ

昔、愛媛の上沢(かみざわ)の山里に、カンタという木こりの若者が住んでいた。働き者のカンタは、毎日のように雨霧山(あまぎり山)へ出かけ、仕事に精を出していた。

ある日の事、霧にまかれて道に迷ったカンタは、一軒の山小屋を見つけて一晩の宿をお願いした。山小屋には白髪の老婆がいて、夕飯をご馳走になりながら不思議な南天の木の話を聞いた。「雨霧山には大きな南天の木があって、その木の枕で寝ると先の事が分かるようになる」

朝になって目をしましたカンタは、不思議な事に昨夜の山小屋も老婆の姿もなかった。カンタがふと前方を見ると、なんとあの南天の木が目の前にそびえ立っていた。昨夜の話を聞いていたカンタは、南天の枕が欲しくなって、南天の木を切ろうとマサカリを探すがどうにも見当たらない。仕方がないので、目印をしてその日は山を下りた。

翌朝、カンタはマサカリを持って南天の木のある場所に出かけたが、昨日あったはずの南天の木は影も形もなくなっていた。それからのカンタは、毎日毎日南天の木を探しに雨霧山に出かけて行った。ところが、南天の木はカンタがマサカリを持っていない時にしか発見できなかった。あきらめきれないカンタは、まるで憑りつかれたように毎日々雨霧山へ行った。

ついにカンタは、マサカリが使えないならと、南天の木の幹をネズミのように口でガリガリとかじり始めた。口から血が流れても一生懸命にかじり続けたカンタは、その日から村には帰ってこなかった。

(紅子 2011-7-20 0:54)


ナレーション市原悦子
出典愛媛県
場所について愛媛の雨霧山(あまぎり山)
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地図:愛媛の雨霧山(あまぎり山)
追加情報
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※掲載情報は 2011/7/20 0:54 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
4件表示 (全4件)
猫  投稿日時 2021/3/11 22:56
救いのない怖い話ですね…
特に最後のBGMが印象的です。この話の始まりのBGMはそんなに怖くないですが、このBGM、カンタの枕や赤城と日光の戦いなどの怖い話から、むりどんや卵とたどんなどの平和な話にも流れています。このBGM万能ですね(笑)
ひのまる呉服店  投稿日時 2017/6/24 10:42
これだけ地図やGPSが発達している現在でも、山や海では、確実に特定したつもりの目標物が別の日に行ってみると、どうしても見つからず、また別の日に行ってみると、やっぱり見つかったりする・・・。(まあ、疲労や混乱による、自分の記憶違いのせいなんですが。)
人里から離れた自然環境での感覚の混乱を実体験すると、このカンタのもどかしさが痛い程よくわかりますね。
TOSHI  投稿日時 2016/2/3 15:53
これは統合失調症を描いてるのかな・・・・
救いのない話でした
たぬき  投稿日時 2013/12/4 20:22
子供の頃、リアルタイムで見て、とても怖かったです。血を流しながら、木をかじり続ける場面が、忘れられませんでした。ですが、話のタイトルや詳細を思い出せなくて気になっていました。このサイトを見て、スッキリしました!壮絶なラストから、主人公は強欲な長者だと思い込んでいましたが、働き者の若者だった事に、再び衝撃をうけました。
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