トップページ >  お話データベース >  ある所 >  にげたおかま
No.1037
にげたおかま
にげたおかま

放送回:0654-A  放送日:1988年06月18日(昭和63年06月18日)
演出:若林常夫  文芸:沖島勲  美術:井上由美  作画:若林常夫
ある所 ) 13942hit
あらすじ

昔あるところに、子どもは居ないが仲の良い老夫婦が住んでおりました。この「じいじ」と「ばあば」は、耳は遠いけれど喧嘩を一度もしたこともありませんでした。

ばあばは、朝になると朝日に今日の無事を祈り、朝ご飯を用意してじいじと一緒に食べるのが日課でした。ところがそんなある時、ばあばは寝過ごしてしまい、焦って早くご飯を炊こうとしました。しかし杉葉が湿っていてすぐに火がつきません。

焦ったばあばは、火吹き竹で釜の頭を「はよう、火ぃつかんか!」と叩き始めました。その音に目を覚ましたじいじは、「ばあば、釜の頭を叩くもんじゃない」と言いましたが、耳の遠いばあばには聞こえていません。

じいじは諦めて、朝ご飯ができるまで草むしりでもしていようと外に出ていきました。外に出て行ったじいじを見たばあばは、「朝ご飯ができてないから、じいじは怒ってしまった」と思って、ますます強く釜の頭を叩き始めました。

そうするうちに竈(かまど)には火がつきましたが、ばあばは釜の頭を叩くのをやめませんでした。やがて叩かれていたお釜は、唸るような音を立てて、ぽーんと飛び出て家の外へ逃げていってしまいました。ばあばは驚いて釜を追い掛け、じいじもそれを見てばあばを追いかけましたが、釜は池の中へ落ちてしまいました。

自分が朝寝坊したばかりにとんでもないことになったと嘆くばあばに、じいじはそっと「誰でも叩かれたら嫌になってしまう。釜を叩いたりしたらいけないよ」と耳元で言いました。反省したばあばが、二度と釜を叩いたりしないと言うと、不思議なことに池の中から釜が浮き上がってきて、ばあばの元に帰ってきました。

それからばあばは、釜を綺麗に拭いて、二度と釜の頭をたたくようなことはしなくなりました。そしていつまでも夫婦仲良く長生きして暮らしたということです。

(投稿者: もみじ  投稿日時 2012-9-10 17:38)


ナレーション常田富士男
出典クレジット不明
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このページを印刷
追加情報
このお話の評価8.7500 8.75 (投票数 4) ⇒投票する
※掲載情報は 2012/9/10 19:20 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
お話の移動 ( 68  件):   <前  1 ..  45  46  47  48  49  50  51  .. 68  次>  
コメント一覧
2件表示 (全2件)
ゲスト  投稿日時 2021/12/29 15:56
オカマが逃げたのかと思った
松岡尚  投稿日時 2016/9/29 14:13
にげたおかまの出典表記には石川のむかし話(日本標準)が記されております。
投稿ツリー
2件表示 (全2件)
現地関連情報
出典本調査 facebook
Twitter

オンライン状況

25 人のユーザが現在オンラインです。 (19 人のユーザが お話データベース を参照しています。)

新着コメント(コメント24件)