No.1264
おきのうみぼうず
沖の海坊主
高ヒット
放送回:0799-A  放送日:1991年06月08日(平成03年06月08日)
演出:こはなわためお  文芸:沖島勲  美術:田中静恵  作画:朝倉隆
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あらすじ

昔、四国は高知の海での話。沖の海には、3月から6月にかけてカツオの大群がやってくるので、漁師たちはこれを求めて沖で漁をしていた。

この日の漁は上々で、やがて日も暮れてきたので、漁師たちは帰路に就いた。すると急に冷たく、生臭い風が吹き始め、辺りが暗くなってきた。そして、ふいに海面が逆立ったかと思うと、その中から巨大なのっぺらぼうの化け物が現れたのだ。

「で、出たぁーっ!」これには、さしもの漁師たちも、あまりの怖さにへたり込んでしまう。「柄杓(ひしゃく)を貸せ~!」化け物は舟に向かって叫ぶ。「柄杓なんか無い!」船頭がこう言うと、化け物はいかにも残念そうに海の中へと消えていった。

漁師たちは慌てて浜に戻ったが、その夜からみな高熱を出して寝込んでしまった。ところが、若い衆の中にはこの話を信じない者もいたのだ。どうせテングサか何かを見間違えたのだろうと、血気盛んな7~8人の若者が沖に向かって舟を漕ぎ出した。

するとどうだろう。沖に出てしばらくすると、やはり辺りが急に暗くなり、化け物が再び現れたのだ。「柄杓を貸せ~!」若衆の一人が、震えながら柄杓を化け物に差し出した。すると不思議なことに、柄杓は化け物の手の中でみるみる大きくなる。そして、化け物は不気味な笑い声をあげると、柄杓で海水を舟に注ぎ、舟を沈めてしまった。若者たちは命からがら浜に泳ぎ着いた。

こんなことでは誰も漁に出られない。困った村人は、吾助爺さんに相談することにした。すると爺様が言う。「その化け物は、海坊主というやつじゃ。退治するには底の抜けた柄杓を渡すんじゃ。」

こうして漁師たちの中でも屈強な者が、底の抜けた柄杓をもって海坊主を退治しに行くこととなった。沖で海坊主が出ると、船頭は爺様に言われた通り、底の抜けた柄杓を投げつける。海坊主は柄杓で水を汲もうとするが、底が抜けているので汲めない。そして、とうとう海坊主は悔しがりながら、海の底に消えていった。

それからというもの、漁に出る時には、どの舟にも必ず底なし柄杓を備えたということだ。

(投稿者: やっさん 投稿日時 2012-7-9 11:56)


ナレーション市原悦子
出典高知県
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追加情報
本の情報二見書房[怪談シリーズ]第3巻_妖怪がでるぞ~(発刊日:1994年7月25日)
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※掲載情報は 2012/7/9 11:56 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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ゲスト  投稿日時 2020/7/20 10:09
船幽霊とは違うのか?
関門の人  投稿日時 2019/11/19 0:16
福岡県門司区田野浦の漁師から聞いた話で、源平合戦のあった早鞆瀬戸で夜間に漁をしていると「ひしゃくくれ~」と声が聞こえ、柄杓を投げたら手が何本も海中から出てきて柄杓で船が沈ませられるから、底のない柄杓を船に置いてると聞いた事があります。
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