昔、伊豆の海岸に二人の兄弟がいました。父親の遺言で、財産は仲よく半分に分けることになっていました。
やがて、兄が嫁をもらう事になり、弟に財産を分けることになりました。兄は、本当に半分にするのは損だと考えて、弟には崖の岩場の荒れ地をやることにしました。弟は、毎日毎日荒れ地を耕しましたが、石や岩が多くてなかなか畑になりませんでした。
ある日、どことなく親父に似た大きな岩が弟に話しかけました。「身幅三尺の袋を持ってこい」驚いた弟が袋を持ってくると、岩の口から金塊がゴロゴロと出てきました。
この話を聞いた怠け者の兄は、もっと大きな袋を持って岩のところへやってきました。しかし岩からは何も出てこず、しびれを切らした兄が口に手を突っ込むと、岩は手首に噛みつきました。兄の手首にはしっかりと歯型が残り、岩はそのまま地響きとともに粉々に砕けてしまいました。それからというもの、兄もまじめに働くようになりました。
(紅子 2011-12-16 16:19)
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | 岸なみ(偕成社刊)より |
場所について | 伊豆国 |
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