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No.0204
はじめてふったゆき
はじめて降った雪

放送回:0126-B  放送日:1978年03月18日(昭和53年03月18日)
演出:藤本四郎  文芸:沖島勲  美術:内田好之  作画:上口照人
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村人達は領主の見回りを恐れるが、初めての雪が降り難を逃れた。

昔むかし、福島県の会津地方あたりでは1年じゅう陽気でぽかぽかしておって冬になっても寒さを知らずに過ごすことができましたそうな。

ところで、ある村では領主様が突然、お見回りに来られることになりました。さぁ大変。何しろ昨年、となり村では、村にちりが落ちていたという理由で、打ち首になったり牢に捕らわれたり年貢が倍にされたりしたそうな。村人は総出で掃除をするが風が吹けばまた元通り。その日の夕方、村の茶屋で集まって相談するが、ほとほと困っておった。

そこへ、旅の坊さんが現れた。お茶をふるまわれたお坊さんは「こういうことは何とかなるもんじゃよ」と不思議なことを言うたそうじゃ。村人は坊さんの言うことを信じることはできなかったが、どうすることもできんかった。

夜が更けるにしたがい、村人の不安はどんどん募っていった。村人のひとりが「あのうそつき坊主だけはがまんならねぇ。ぶっ叩いてやる。」と、外に飛びだすと、あたりは雪景色になっておった。

会津地方では、その頃まで雪というものは降ったことがなかった。それでこの白くて冷たいものが何なのか分からなかった。「お坊さんが言われたのはこのことではねぇだか。」村にはもうちり1つ見つけ出すことはできんかった。「これで領主様が来られても大丈夫だ。」

村人が坊さんにお礼を言いに行ったが、もうどこにもおらんかった。それからこの地方では毎年雪が降るようになり、大雪豊作というて雪がどっさり降った年は穀物の収穫も豊かになったという話じゃった。

(投稿者: もげお 投稿日時 2012-3-20 19:54 )


ナレーション市原悦子
出典片平幸三(未来社刊)より
出典詳細福島の民話 第一集(日本の民話13),片平幸三,未来社,1958年10月31日,原題「はじめて降った雪」,採録地「河沼郡笈川村」,話者「柏木天遙」
場所について福島県会津の河沼郡旧及川村付近(地図は適当)
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地図:福島県会津の河沼郡旧及川村付近(地図は適当)
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※掲載情報は 2012/3/20 21:46 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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ゲスト  投稿日時 2016/2/28 22:23
旅の坊さん「こういうことは何とかなるもんじゃよ」

去年、となり村は何とかならず打ち首になったんですが…
ゲスト  投稿日時 2015/10/13 13:06 | 最終変更
笈川村(おいかわむら)は福島県河沼郡にあった村。現在の湯川村の東半にあたる。
1889年(明治22年)4月1日 - 町村制の施行により、笈川村、清水田村、桜町村、湊村、浜崎村の区域をもって発足。
1957年(昭和32年)3月31日 - 勝常村と合併して湯川村が発足。同日笈川村廃止。
河川 : 溷川
交通 日本国有鉄道 磐越西線 笈川駅 国道121号(米沢街道)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%88%E5%B7%9D%E6%9D%91
__
ピン位置を及川駅に変更しました。(2015/10/13)
beniko  投稿日時 2013/8/23 18:00
このお話で降った雪は、会津で初めて降った雪といわれています。会津では雪が降ると豊作になるため「大雪豊作」があるそうです。(出典本より)
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