No.0326
うしかいげんじ
牛飼い源次

放送回:0204-B  放送日:1979年09月29日(昭和54年09月29日)
演出:芝山努  文芸:沖島勲  美術:門野真理子  作画:須田裕美子
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あらすじ

岩手県は九戸郡、九戸富士と呼ばれる階上岳のふもとに、源次と言う目はしの利く牛飼いが住んでいた。この源次が所有する大牛は体も大きく角も立派で、牛同志の角合わせでも決して負ける事が無かった。

ある晩、この大牛が突然姿を消してしまい、源次は牛が盗まれたかと慌てに慌てて方々を探しまわった。見つからずに落胆して家に戻ると、牛は既に牛小屋に戻っていて寝ているのであった。

そ んな事が幾度も続いたので、不審に思った源次はある時寝た振りをして様子を伺い、夜中にそっと家を出た牛の後をつけて行った。すると牛はどんどん山奥に分 け入り、やがて山中の原っぱに辿りついた。そこにはこれまた大きな体を持った熊が待ち構えていた。やがて牛と熊はがっと組みついて力比べを始めた。

毎晩牛が居なくなるのは熊と力比べしていたからか、と気付いた源次は、何とかして牛を勝たせてやりたいと思い、ある日牛が寝ている隙をついて、牛の角に油を塗りつけておいた。

その晩も、牛は家をこっそりと出て山奥へ分け入り、熊と力比べを始めた。牛と熊ががっと組み合い、熊が牛の角に手をかけた瞬間、塗ってあった油でずるっと滑り、そのまま牛の角が熊の胴を貫いた。熊は死んだ。

源次は牛が勝ったので大喜びしたが、それ以後牛は腑抜けのようになってしまい、餌を食べるのも拒み続け、幾日か後にあの熊の屍骸と同じ場所で眠るようにして死んだ。

源次は今更ながらに後悔し、牛と熊をその場に弔った。この社は、「牛熊の社」として長い間残っていたという。

(投稿者: 熊猫堂  投稿日時 2012-9-10 10:36)


ナレーション常田富士男
出典深沢紅子(未来社刊)より
出典詳細岩手の民話(日本の民話02),深澤紅子、佐々木望,未来社,1957年09月30日,原題「牛飼い源次」,九戸郡誌より
場所について階上岳(はしかみ だけ)
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地図:階上岳(はしかみ だけ)
追加情報
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※掲載情報は 2012/9/10 12:14 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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ゲスト  投稿日時 2019/1/4 6:12
飼い主も良かれと思ってやった分、なんか誰も責められないお話ですよね。
生き物はただ生きてるんじゃなくて、生きがいや張り合いがないと、ちゃんと生きてるってことにならないんだろうなあ。

なんか、若いうちから生活のためにただただ毎日遅くまで働いて、副業やバイトまでしている人もいるのに、さらに年金が引き上げられたから70歳まで働かないといけない今の社会では、考えさせられますね。

というか、60歳過ぎたら認知症だって始まる人いるし、免許返納した方がいい人だっているのに、生活できないから働かなきゃいけない社会になったらそれこそ重大ミスや大事故起きそうで怖いですよ…。
ちゃんと人間らしく暮らせる社会になってほしいわ。
坊屋良子  投稿日時 2016/9/3 20:51
「ベゴ」じゃなくて名前をつけてあげるべき
もみじ  投稿日時 2012/9/10 12:12
牛は、好敵手を失って生きる気力をなくしてしまったのかも(´・ω・`)、

長い間ライバルとして盆栽?かなにかを競い合っていた年配の方が、片方が事故で亡くなられたとたん、もう片方の方がまるで生気が抜けたかのようになって数年後、認知症を患い遠くの病院に行かれてしまったという話を聞いたことがあります。

対等に渡り合える相手というのは頑張る励みにもなるけど、それを失った時の喪失感は大きい。
熊猫堂  投稿日時 2012/9/10 10:26
子供の頃、街の図書館に収録されていた本にこのお話が収録されていて、強く印象に残っておりました。後に「まんが日本昔ばなし」で放映されて妙に嬉しかったのを覚えています。
ゲスト  投稿日時 2011/10/3 5:48
角に油を塗ったことで勝てた、と思った牛が、自責の念を抱いたから居なくなったのではないだろうか?
もしかして、この牛なりに正々堂々と戦いたかったのではないだろうか。。。
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