昭和4年8月1日発行の『旅と伝説』(2巻8号)に「奥羽巡杖記」という論文が掲載されており、そちらでは下記のような伝説として紹介されております。
虎子という飼い猫をかわいがっていた大橋雅楽之助が、淵に転落して命を落とした。これを下部が淵という。虎子は酒粕を盗み出して毎日この淵に落とした。これを見た人たちは、男に手向けているのだろうと感心した。しかし虎子も最後には犬に噛み殺された。
採録は下北郡とのことですが、下部が淵という地名はなく、川内川渓谷に下戸ヶ淵と呼ばれるものがありました。カヘガフチと読むのであれば下戸を下部と誤記した可能性もあり、下北半島の青森県むつ市に所在という点から、作品の舞台として紹介された陸奥や上記論文の下北郡とも符号が一致しますので、こちらを虎子淵として地図情報を紹介したいと思います。
なお、GoogleMapでは地名表示がありませんでしたので、地名のある国土地理院の地図も合わせてあげておきます。なお、国土地理院での地名漢字は「下戸ヶ渕」となっておりますが、むつ市観光協会では「下戸ヶ淵」となっておりますので、こちらで間違いはないと思います。
http://g.co/maps/ee5cfhttp://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?longitude=140.97797222304&latitude=41.272950412321