一目入道 ひとつめにゅうどう *加茂湖の主、隻眼の大河童*
佐渡島で最も大きな湖、加茂湖(かもこ)には昔から主が住んでいると言い伝えられている。伝承によるとその主は、頭頂部の皿に当る部分に巨大な単眼を持った堂々たる体躯の「河童」によく似た妖怪だそうで、その巨大な単眼から人々はこの主を「一目入道」(いちもくにゅうどう)と呼んだ。
「一目入道」は他の名だたる「河童」達のように進んでヒトに悪さを働く事も無く、他所の「河童」の領土を乗っ取ろうとするでもなく、加茂湖の中でひっそりと暮らしていたようだ。義理堅い性分でもあったらしく、駒牽き(「河童」の属性のひとつで、馬を水中に引き摺り込む悪戯)に失敗して馬方の怒りを買ったものの許され、礼として定期的に馬方に魚介類を届けた、と言う説話も残る。
然し、そんな心穏やかな「一目入道」も、自身の縄張りである加茂湖を護る為なら時には闘いや報復も辞さなかったようだ。…こんな伝承がある。
嘗て、加茂湖を干拓して農地にし、私服を肥やそうと試みた豪農がいた。ある年の祭りの日、豪農は近隣の農民と共に祀り見物に出かけたが、其処へ現れたのが見かけない美女。美しい娘の手招きにふらふらと付いていった豪農の様子があまりにもおかしかったので、訝った同行者がこっそりと後をつけると、娘と豪農は加茂湖の水面をまるで地面を歩くように渡って行く。恐ろしさのあまり同行者はその場から逃げ出し、翌朝、日が昇ってから大勢の村人を伴って湖に出向いた所、其処には縊り殺された豪農の変わり果てた姿があった…。人々は「加茂湖の主に魅入られたに違いない」と恐れたと言う。
伝承では主の詳細を明らかにしていないが、加茂湖の主を「一目入道」だとする説は非常に古くから存在したようなので、恐らくこれは「一目入道」が加茂湖を守る為に行ったのだろうと推測される。
加茂湖の辺には、今でも「一目堂」と言う、「一目入道」を祀った祠が静かに湖面を見下ろしている。
http://www5e.biglobe.ne.jp/~c-panda/28907647/一目入道は加茂湖の主であり、頭上に一つ目を持つ。ある日、一目入道が湖から上がってみると、1頭の馬が繋がれていた。入道は好奇心から馬に跨り、遊び始めた。
そこへ馬主がやって来て、入道は捕らわれてしまった。陸上では入道も手も足も出ず「ご勘弁下さい。その代わりにこれから毎晩、瑠璃の鉤で一貫の鮮魚を捕らえて献上します。但し魚を採るのに必要なので、鉤だけはお返し下さい」と言った。馬主は面白がって約束を受け入れ、入道を放した。
翌朝に馬主が湖へ行ってみると、約束通り取れたての魚が鉤に掛けられていた。馬主は喜び、入道が言った通り鉤を湖へ返し、魚を持ち帰った。こうしたことが何年も続いた。
ある日、馬主は悪い考えを起こし、約束を破って鉤を返さずに持ち帰った。すると入道は魚を貢がず、それどころか毎年正月15日に馬主の家を襲うようになった。馬主は一晩中念仏を唱え、危機を免れようとした。こうして入道の祟りが無くなった頃、馬主は観音堂を建て、本尊の白豪(びゃくごう。仏の眉間にあって光を放つという白い毛)に入道の鉤をはめた。
新潟県両津市潟端の中野浦観音堂では、1月16日に「目一つ行事」といって、堂をのぞき込む入道から本尊の観音を守るため、男衆が堂にこもり、大声や物音で入道を追い払う行事がある。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E7%9B%AE%E5%85%A5%E9%81%93