Re: るすが岩
投稿者:Perenna 投稿日時 2020/10/17 23:43
この話と似たような昔話は、「近江の民話」(未来社)にも収録されています。
「比良の八荒」という話です。
「むかし、比良山のふもとの、湖に近いお寺にのう、日夜修業に励むひとりの若い僧がいたんじゃ。どういう縁か、東江州に住む娘がこの若い僧を好きになってのう。家の者の目を盗んで湖にタライの舟をだし、それに乗って寺までやってきて、若い僧のまえに手をつき、「どうかわたしをあなたの嫁さんにしてくだされ」とたのむんや。」という書き出しで始まっています。
若い僧はもちろん断りましたが、女は聞き入れません。
そこで若い僧は「これから百夜、湖を渡ってかよってきたら、望みどおりそなたを妻に迎えよう」と無理難題を出します。
よろこんだ娘は、雪が降ろうと雨や風が強くても、めげずに毎晩タライの舟に乗って通いつづけました。
そして、とうとう、もう一夜で満願の百夜になる九十九日目の夜になりました。
若い僧は、娘の根気と執念に恐れをなし、白髭明神の灯籠の火を消せば、娘はやって来れまいと考えつきました。
娘はタライの舟に乗っていましたが、白髭明神の火が見えなくなってしまったので困ってしまいます。
運の悪いことにその夜は、湖が荒れていて、強い風が吹いていたので、娘はあっというまに湖の底に沈んでしまいました。
そののち、娘が無念のうちに命を落とした季節が来ると、湖も山も大荒れに荒れるようになりました。
それを土地の人々はいつのころからか、比良の八荒と呼ぶようになったそうです。
山梨県に伝わる「るすが岩」との共通性や類似が気になりますね。