ある日男が鉄砲をかついで歩いていると、大きなカラスに出会った。
カラスは男が持っている鉄砲に興味を示し、是非撃って見せろと言う。男は撃った。カラスは木の枝から真っ逆さまに落ち、下の草むらに落ちた。男が近寄ってみると、あるはずの死体がなかった。
その夜、男が家で鉄砲の手入れをしていると、死んだはずのカラスが羽で胸を押さえながらやってきた。カラスは「お前がさっき撃った鉄砲痛かったぞ。胸に大きな穴があいてしまってな」と言って、カラスは押さえていた羽を離すと、そこには赤黒くぽっかりと大きな穴が開いていた。
カラスは「今度は俺が撃つ番だ」と、男に詰め寄った。これはまずいと思った男は、こっそり弾を隠し、からの鉄砲をカラスに渡した。 カラスはしばらく鉄砲を眺めていたが、やがて男に向かって引き金を引いたので、男は仰向けに倒れて死んだふりをした。
男が死んだと思い、カラスが男にあるはずの穴を探し始めた。「穴はどこだ?穴は?」男をひっくり返し、服をめくり、弾痕をさがす。やがて、カラスはふんどしの中を覗き込み、穴を見つけて声をあげた。尻をまさぐられ、くすぐったさに我慢しきれなかった男は、ぶおぉぉおおんん!と、大音量の屁を放った。
屁の勢いに飛ばされたカラスは、屋根を付き抜け空に飛ばされてしまった。
次の朝、男が昨日カラスに出会った木の下まで来ると、あの大カラスが死体となって転がっていた。心臓を打ち抜かれても死ななかったカラスだが、男の放った一発の屁で死んだ。
(引用/まんが日本昔ばなし大辞典)
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | 荒木精之(未来社刊)より |
出典詳細 | 肥後の民話(日本の民話27),荒木精之,未来社,1960年06月30日,原題「大からす」,採録地「熊本市」,話者「山本かをめ」 |
場所について | 大津街道の黒川近くか(地図は適当) |
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