昔、ある漁村での話。
漁村で毎晩干してる魚が狸に盗まれるので、怒った村人たちが巣穴を煙でいぶして子狸もろとも焼き殺す。どうにか逃げ延びた母狸は、復讐として村に放火し、大事な漁船のほとんどを焼いた。
船が焼かれてこれまでのような漁ができなくなり、苦しい生活を送っていた村人たちは、残っていた小舟にのって沖に漁に出た。すると子連れの鯨を見つけ、生活がやばかったのでやむなく突きやすい子鯨に銛を打ち込んだ。
子鯨を殺した次の日から、海がしけまくって漁に出られなくなった。きっとこれは親鯨の怨みだということで、子狸もあわせて供養してやるために死んだ子狸の数+子鯨1頭の地蔵を立てる。
不思議な事に、開眼供養の経読みの最中に、各地蔵の胸に穴が空いた。それを見た村人たちは「我が子を失った親の気持ちは、胸に穴が空くようだったのだろう」と思った。
(引用/まんが日本昔ばなし大辞典)
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | 吉松祐一(未来社刊)より |
出典詳細 | 長崎の民話(日本の民話48),吉松祐一,未来社,1972年07月20日,原題「穴ほげ地蔵」,採録地「壱岐郡勝本町」,話者「吉野弘祐」 |
場所について | 長崎県壱岐市芦部町のはらほげ地蔵 |
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