昔ある寺に大変しつけの厳しい和尚さんと、頭の少し足らない五助という寺男が住んでいた。
ある日のこと和尚さんと五助は法事でとなり村へ行くことになった。となり村と言っても山をいくつも超えていかねばならないので時間がかかった。
その途中、五助は小便がしたくなってきた。山の草むらでしようとしたら和尚さんが怒り、「山には山の神がおられる。小便なんぞしたら山の神がお怒りになるぞ」と言った。仕方なく五助は、田のすみにしようとしたが和尚さんがまた怒り「田には田の神がおられる。小便なんぞしたら田の神がお怒りになるぞ」と言った。
五助はもう小便がしたくてしてくてたまらず、ハアハア言いながら歩いていた。その時和尚さんのぞうりの紐が解けてしまい、和尚さんはかがんで紐を直し始めた。和尚さんは五助に先に行ってもよいと言ったが、五助はもう小便が我慢の限界に達していた。すると五助は、やおら和尚さんの頭に小便をし始めた。やっと小便ができた五助はようやく安心できた。
が、和尚さんはもうカンカンになって怒り、五助を怒鳴りつけた。だが五助は「山には山の神がおられ、田には田の神がおられる。神(髪)が無いのは和尚さんの頭ばかりではないですか」と言った。それを聞いた和尚さんは返す言葉がなくなってしまった。そしてそれからも、和尚さんと五助は仲が良くというか悪くというか、末永く一緒に暮らしたそうだ。
(引用/まんが日本昔ばなし大辞典)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 山形県 |
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