昔、岡山の美作のある山の峠に、おじいさんと孫娘のお里が茶店を営んでいました。今日も一生懸命働いてそろそろ店を閉めようとすると、槍(やり)をもった武者修行のお侍さんがやってきました。
お里が出したお茶とお饅頭を美味しそうに平らげたお侍は、自慢の槍さばきを見せてしんぜよう、と言い、槍を振りはじめました。お侍は、夢中になって槍をふっているうちに、頭からは耳がお尻からはしっぽが出てきている事に気が付きませんでした。
お侍に化けているキツネは、お里が喜んで見てくれているので気分よく槍の技を披露し続けました。その様子を見ているお里は、おかしくておかしくて吹きだしそうになるのを我慢するのが精一杯でした。一通り技を披露した後、水桶に映った自分の姿に気が付いたキツネは、驚き慌て山の中へ逃げていきました。
翌日、お里が裏山で薪を拾っていると、昨夜のキツネがやってきました。「昨夜は間抜けな姿で可笑しかったねぇ」と言いながら、キツネは愉快そうに笑いました。化けるのに失敗したキツネは、別の山に移住しないといけない決まりがあるので、立ち去る前にお里にさようならを言いにやって来たのです。笑いながら去っていくキツネを、お里も笑顔で見送りました。
(紅子 2011-10-9 21:28)
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | 岡山県 |
DVD情報 | DVD-BOX第9集(DVD第41巻) |
場所について | 岡山県美作市(地図は適当) |
本の情報 | 講談社テレビ名作えほん第042巻(発刊日:1981年3月) |
講談社の300より | 書籍によると「岡山県のお話」 |
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