昔、山城の国、宇治の茶どころに、太郎作という働き者の若者が出稼ぎに来ていた。出稼ぎ先の親方にはお花という年頃の娘がいて、仕事熱心な太郎作を好きになった。
二人は結婚を認めてもらおうと、お花の父親である親方に申し出たが、許してもらえなかった。太郎作は、お花の幸せを考え自ら身を引き、こっそりと岩国へ帰って行った。
太郎作がいなくなったことに気が付いた花は、太郎作を追いかけて家出した。家出を予感していた父親は、事前にお花の荷物の中にお茶の実を三粒、入れておいた。
お花は、太郎作と一緒に岩国に帰り、農家の手伝いをして一生懸命働いた。秋には子供も生まれたが、暮らしは楽ではなく、お花の着物も一枚二枚と売り払っていった。
最後の着物を売りに古道具屋に行った時、袖の中から三粒のお茶の実を見つけた。二人はそのお茶の実を丘の上にまき、三粒のお茶の実からたくさんの実がとれた。二人の茶畑はひとうね、ふたうね、三うねと増えていき、なかなか評判の良いお茶が育った。
まもなく二人は、宇治から父親を呼び寄せ、立派に育った茶畑を見せた。このお茶は「西の宇治茶」「西宇治の茶」とよばれ、都の人々からも大変評判になったそうな。
(紅子※国際情報社の絵本より 2011-9-22 20:24)
ナレーション | 未見のため不明 |
出典 | クレジット不明 |
本の情報 | 国際情報社BOX絵本パート2-第100巻(発刊日:1980年かも) |
講談社の300より | 書籍によると「山口県のお話」 |
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