昔々、国じゅうがものすごい飢饉で食べ物が無くて困っていた頃がありました。
ある日、馬と人間が腹が減ったと嘆いていると、そこへモグラがやって来て「神さまの蔵から食べ物を盗み出そう」と、ずるい相談を持ちかけました。
人間は「オラにはそんな悪い事はできない」と断ったので、馬とモグラの二人が神さまの蔵へ忍んで行きました。まずモグラが蔵から食べ物を盗み出し、それを馬の背中に乗せて、急いで逃げ帰って来ました。二人は遠くまで逃げのびてから、腹いっぱい食べました。
しかし神さまの物を盗んだわけですから、さっそく神さまにバレました。三人は神さまの所へ呼び出され、お裁きを受ける事になりました。神さまは「人間は悪い事はしてないから、明るい太陽の下で穀物を作って暮らしなさい」と、親切にもその作り方まで教えてくれました。
次に「馬は、良いも悪いも誘われれば何でも言う事を聞いてしまうバカな奴だから、一生のあいだ人間に使われて荷を運べ」と言いました。モグラには「お前が一番悪い奴だから、明るいシャバには置いとけない。土の中にもぐって暮らせ」と言い渡しました。
それ以来、この三人は神さまの言われた通りに暮らしています。
(紅子 2012-11-11 23:21)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 土橋里木(未来社刊)より |
出典詳細 | 甲斐の民話(日本の民話17),土橋里木,未来社,1959年03月31日,原題「もぐらと馬と人間」,採録地「南巨摩郡早川町奈良田」,話者「深沢正志」 |
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