土佐の民話 第二集(未来社,1974年08月30日)に、同タイトル名のお話があり「このお話かもしれない」ということであらすじを書いてみます。
幡多の大方に米次という孝行者が母親と暮らしていた。ある年の暮れ、米次が山を下りながら、♪ポッタリ ポッタリ 餅ついて 一つ食わせたい おなんさんに♪
と、口ずさんでると、どこからか一緒に歌う者がある。米次は見回したが、地蔵さましかいない。そこで試しにとまた歌うと、地蔵さまが一緒になって歌いだした。
米次は「ありがたいことじゃ」と驚き、地蔵さまを背負って町へと出た。そして「地蔵さまに歌を歌わしょう」と言うと、「へぇ、地蔵さんがのう。一つやってみせたや」と、人が集まってきた。米次が「ポッタリ ポッタリ 餅ついて~」と歌うと、地蔵さまも一緒に「ポッタリ ポッタリ 餅ついて~」と歌いだす。最初は静まり返っていたが、とたんに大騒ぎになった。
やがて、その噂は殿さまの耳にも入り、米次は城へと招かれた。そして、米次が「ポッタリ ポッタリ 餅ついて~」と歌うと、地蔵さまも一緒に「ポッタリ ポッタリ 餅ついて~」と歌いだす。これには殿さまも「見事じゃ見事じゃ」と大喜びし、米次に褒美を取らせた。
さて、この米次の家の隣に金蔵という欲ばりな男がおった。金蔵は米次の話を聞いて、地蔵さまを借りると町へと繰り出した。そして「地蔵さまに歌を歌わしょう」と言って、人を集めたが、歌っても歌っても、地蔵は押し黙ったまま。見物人があきれて帰ると、金蔵はカンカンに怒って、地蔵さまを砕いてしまった。
米次は無残な地蔵さまの姿に心を痛め「もったいなや」と庭に埋め、祠を立てて祀った。すると、そこから竹がスクスクと生え、天まで届くほどになった。何の気なしに米次が竹をゆすると、チャランチャランと天から小判の雨が降ってくる。
この小判の音に金蔵が飛び出し「わしにもゆすらいてくれや」と言って、返事も聞かぬまま竹をゆすったそうな。そしたら、今度は毛虫が降ってきて、金蔵の体中にまとわりついた。「こりゃあ、たまらん。助けてくれぇ」と悲鳴を上げ、一目散に逃げていったとさ。
(投稿者: araya 投稿日時 2012年1月17日 2:46 )
ナレーション | 未見のため不明 |
出典 | クレジット不明 |
出典詳細 | 土佐の民話 第二集(市原麟一郎,未来社,1974年08月30日)によると、採録地は幡多郡。舞台は「幡多の大方」から、現在の高知県幡多郡黒潮町入野の大方地区。 |
場所について | 幡多の大方(地図は適当) |
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