東京のむかし話(日本標準,1975年09月25日)に、同タイトル名のお話があり「このお話かもしれない」ということであらすじを書いてみます。
昔、すいそん寺というお寺に一人の和尚さんが暮らしていました。和尚さんは朝晩の仏様へのおつとめの合間に、水汲みに行ったり畑仕事をしたりと一日中よく働きました。夜になると阿弥陀さまの前に布団を敷いて、コロッと寝てしまう生活でした。
ある夏の夜、和尚さんが布団を敷いていると「すい、とん、寺」と誰かが外で呼ぶ声が聞こえました。この寺に人が来るなどめったに無いので、和尚さんが四つんばいのまま障子をあけましたが、そこには誰もいませんでした。
やがて秋になり、月のない真っ暗闇の夜。今夜、またやってくるかもしれない、と考えた和尚さんが障子の前に座ってうつらうつらして待っていると、「すい、とん、寺」とはっきり聞こえました。提灯をぶら下げて庭を照らして見ましたが、やっぱり誰もいませんでした。
しばらくたった満月の十五夜の夜。和尚さんが障子の穴から庭を覗いて待っていると、なんと一匹の痩せダヌキがやってきました。タヌキは障子に体をこすりつけて「すぅい」、前足で障子を蹴っては「とん」、しっぽで障子をこすっては「じい」と音を出していました。
この痩せダヌキは、お腹がすきすぎて化ける事もできなくなり、一人ぼっちの和尚さんを呼んでいたのです。和尚さんは、お団子や芋や栗など残らず狸に持たせてやりました。それから毎晩、「すい、とん、じい、すいとんじい」と、狸がやって来るようになり、それでこのお寺はいつの間にか「すいとん寺」になりました。
(紅子 2012-1-15 0:10)
ナレーション | 未見のため不明 |
出典 | クレジット不明 |
出典詳細 | 東京のむかし話(東京むかし話の会,日本標準,1975年09月25日) |
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