昔、ある所での話。
お婆さんがそら豆を運んでいると、一粒だけコロコロとこぼれ落ちた。それから火を焚きつけようと藁(わら)を運んでいると、一本だけ抜け落ちた。お婆さんがかまどに火をつけると、一つだけ炭がはじけて外に飛び出した。そうして出会ったそら豆と藁と炭は、幸運にも生き延びたことに感謝し、伊勢参りに出かけることにした。
旅の途中、腹を空かせたネズミに出くわした。三人の中で、そら豆だけが食べ物なので大ピンチだったが、炭が自分の体から火をおこし、ネズミに体当たりして退治した。炭のおかげで助かったそら豆だが、自分だけが食われそうになった事が不満で、腹を立てながら旅を続けた。
やがて三人は、橋のない川に出くわしたので、背の高い藁が橋になる事にした。最初に炭が渡っていたが、あまりの怖さに炭の体から火が出てきた。その火は、みるみるうちに藁に火が燃え移り、炭と藁は川へ落ちていった。
それを見たそら豆が大笑いすると、頭の皮がパチンと破れてしまった。頭が割れて泣いていると、通りかかった若い娘さんが針と黒い糸で割れた頭を縫ってくれた。その縫い跡が、今のそら豆の黒いスジとなった。
(紅子 2011-9-27 20:37)
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | (表記なし) |
DVD情報 | DVD-BOX第1集(DVD第1巻) |
VHS情報 | VHS-BOX第3集(VHS第28巻) |
本の情報 | サラ文庫まんが日本昔ばなし第23巻-第115話(発刊日:1978年8月15日)/童音社BOX絵本_第56巻(発刊日不明:1970~1980年頃)/二見書房まんが日本昔ばなし第11巻-第44話(発刊日:2006年6月20日)/講談社テレビ名作えほん第059巻(発刊日:1986年8月) |
サラ文庫の絵本より | 絵本巻頭の解説には地名の明記はない |
童音社の絵本より | 絵本巻頭の解説(民話研究家 萩坂昇)によると「中部地方の昔ばなし」 |
講談社の300より | 書籍には地名の明記はない |
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