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No.1031
ひだかとうげのおおきなて
日高峠の大きな手
高ヒット
放送回:0650-A  放送日:1988年05月21日(昭和63年05月21日)
演出:小原秀一  文芸:沖島勲  美術:阿部幸次  作画:小原秀一
和歌山県 ) 33977hit
山に入る前には神様へのお供え物を忘れずに!

昔、和歌山の釜中の村に住む惣七(そうしち)という猟師が日高峠へ猪を撃ちに行った。惣七はいつも山に入る前に必ず山の神様の祠にお参りしていたが、その日は珍しく山の入り口で猪を見つけ、惣七は思わずお供え物の野菜を放り出し猪の後を追いかけて行った。

しかし猪を探すうちに、さっきまで晴れていた空が何故か急に暗くなり、秋の寒雨が降り出した。惣七は慌てて山を下りたが、林の中に小さな炭焼き小屋があったので、雨宿りさせてもらおうと惣七は中へ駆け込んだ。

中ではお婆さんが一人火を焚いており、お婆さんは惣七を火にあたらせると空の鍋から煮物を出し、惣七に振る舞った。惣七は不思議に思いつつありがたくこれをいただいたが、しばらくするとお婆さんが、「一差しくべると手は二倍…二差しくべると手は三倍…」と火に薪をくべる度に手を大きくさせ、突然惣七を張り倒したのである。

怖くなった惣七は後ろも見ずに小屋から飛び出し、どんどん山道を逃げて行った。すると途中で一軒の家があり、中を覗くと一人の若い娘がいた。こうして家の中で火にあたり娘に温かい汁を振る舞われながら、惣七は先程の炭焼き小屋の事を娘に話した。

ところが汁に入った野菜がお婆さんの煮物と同じ事に惣七が気付いた途端、娘の表情が変わり、「お婆さんの手ぇとわしの手ぇと、どっちが大きいかねぇ?」と、娘は大きくなった手で惣七を捕まえようとした。惣七は再び逃げ出すもとうとう捕まり、そのまま気を失ってしまった。

どれぐらい時間が経ったのか、目を覚ますと惣七はいつの間にか山の入り口の祠で倒れており、祠の前にはお供え物の野菜が散らばっていた。惣七はそこで、あの大きな手はお参りを忘れ獲物を追いかけた自分を、山の神様が戒めたのだと理解した。そして惣七は祠の前で手を合わせ、山の神様に深く感謝したという。

(お伽切草 投稿日時 2013-11-17 23:07) 


ナレーション市原悦子
出典和歌山のむかし話(日本標準刊)より
出典詳細和歌山のむかし話(各県のむかし話),和歌山県小学校教育研究会国語部会,日本標準,1977年10月05日,原題「井戸の上の惣七ばなし、日高峠の大きな手」,採録地「有田郡金屋町釜中」,話者「水本浜之助」,再話「水本光」
場所について有田郡有田川町釜中(地図は適当)
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※掲載情報は 2013/11/18 2:59 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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