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息子の供養(むすこのくよう)

放送回No.0996(0628-B)
放送日1987年12月12日(昭和62年12月12日)
出典徳島県
クレジット演出:又野龍也 文芸:沖島勲 美術:西村邦子 作画:又野龍也
ナレーション市原悦子

死んだ息子の供養をしなかった父親が改心する話

昔ある所に、怠け者で大酒飲みの男がいた。男には息子が一人いたが、病気でその子を亡くしていた。しかし、父親は息子が亡くなっても、相変わらず怠け者で酒ばかり飲み、息子に供え物も水もあげようとはしなかった。

ある夜のこと。父親のもとに、死んだはずの息子が姿を現した。息子が家を出て、いずこかへ歩いて行くので、父親はその後について行く事にした。息子がとある寺の中に入って行く。父親は、そっと中の様子を窺ってみた。

寺の中では死人達が宴会をしているようであった。死人達は、家族の者が供えてくれたお供え物を食べているらしく、どの死人も美味しそうにお供え物を食べたり、酒を飲んだりと賑やかで、宴会は和気藹々としていた。その宴の中には息子の姿もあったが、なぜか息子は宴の中に入ろうとせず、部屋の中でうずくまり、ただ、他の者のドンチャン騒ぎを聞くまいとするかのように、背を向けていた。

どうやらあの世の世界では、死者は身内や友人などが供えてくれた食べ物は食べることが出来るのだが、他の者に供えられた食べ物は食べることが出来ないらしかった。そのため、息子は他の死者から供え物を分けてもらう事ができず、また、彼の父親は飲んだくれてばかりで、供え物の一つもあげてこなかったから、息子はあの世で食べるものはおろか、飲む水にすら困り果てて、苦しんでいたのであった。

我が子がそんなに辛い思いをしていると知った父親は、涙を流して今までの自らの行いを悔いた。それから父親は改心し、あの世で我が子が食べるものに困らぬよう、飲む水に困らぬよう、毎日水や供え物を欠かさず行うようになったということだ。

(投稿者: パンチョ 投稿日時 2012-5-23 0:49 )


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