昔々のことじゃ。ある所にごんざという働き者の炭焼きがいた。
ごんざは人一倍の仕事をするが、毎晩、近くの町まで行って1升酒を飲まないと気がすまなかった。帰り道は川を渡って帰るのだが、酔いのせいでその橋は3本に見えた。
毎晩の暴飲を心配したごんざの女房が、お酒の量を半分に減らすよう戒めた。次の日、ごんざは仕方なく半分の酒しか飲まずに、帰路についた。
しかし、いつもは酔って3本に見えていた橋が、今日は2本にしか見えない。普段なら3本に見えた橋は真ん中を渡れば大丈夫だったが、今日は2本しかないのでどちらを渡ればよいか分からなかった。
ごんざはうっかり橋を踏み外して、川に落ちてしまい、生死の境をさまよった。これにより、やっぱりごんざは毎晩一升酒を飲むことにし、それで随分と長生きした。
(紅子 2011-7-6 0:41)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 徳山静子(未来社刊)より |
出典詳細 | 紀州の民話(日本の民話56),徳山静子,未来社,1975年04月25日,原題「酒が足らんさけ」,採録地「新宮市」,老の寝覚物語より |
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