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見沼弁天(みぬまべんてん)

放送回No.0964(0607-B)
放送日1987年07月11日(昭和62年07月11日)
出典埼玉の伝説(角川書店刊)より
クレジット演出:芝山努 文芸:沖島勲 美術:蒼竜窟 作画:重国勇二
ナレーション市原悦子

あらすじ

昔、埼玉の下山口(しもやまぐち)に平吉という馬方が住んでいた。ある日、千住市場へ青物を運んだ帰り道、平吉が西新井宿辺りまで来ると、旅装束姿の美しい娘が疲れきった様子で前を歩いている。

娘は見沼(みぬま)へ行くと言うので、ちょうどもどり道と、平吉は娘を馬の背に乗せて見沼まで送った。娘は見沼にかかる橋のたもとで馬を降りると、平吉に礼を言い、水面をすべる様にして沼に消えた。

平吉はこの娘の面影が忘れられず、将来夫婦になる約束をした名主の娘、茅野(ちの)のことも気に掛けなくなってしまう。平吉は、娘に会いたい一心で毎日橋のたもとに立ったが、娘が姿を現すことはなかった。

そんなある日、平吉は何を思ったか、娘が消えた辺りの竹藪で竹を一本切ると、やがて一心不乱に竹笛を作りだした。そして竹笛が出来ると、満月の夜にそれを見沼の畔(ほとり)で吹いた。すると平吉の吹く竹笛に合わせて沼から琵琶の音が聞こえる。やがて沼からはあの時の娘が琵琶を持って現れ、平吉に玉手箱を渡してこう言った。

「中には幸せが入っています。決して中を開けないで下さい。幸せが逃げてしまいます。」娘が言ったとおり、それからの平吉は幸運ばかり続き、平吉はあっという間に長者になり、働かなくても何不自由なく暮らせるようになった。

しかし長者になった平吉は幸せを感じることが出来ず、平吉の心には寂しさが募るだけだった。「いったい何が幸せじゃ?」平吉は二年後の満月の夜、とうとう玉手箱を開けてしまう。すると、玉手箱から一匹の白蛇が這い出て来て、見沼の方へ逃げて行く。蛇は沼の畔で一筋の白い光となって沼に姿を消した。そして箱の底には一枚の鱗が残るだけだった。

それからというもの、平吉の商売はうまくいかなくなり、もとの馬方に戻ってしまった。しかし茅野はそんな平吉のことをずっと待っていたのだ。その後平吉は茅野と結ばれ幸せに暮らした。そして平吉は、見沼べりにお社を建て、鱗の入った玉手箱を祀ったということだ。

(投稿者: やっさん 投稿日時 2013-4-20 16:40)


参考URL(1):http://www.hunterslog.net/dragonology/ryujatan/kantou/minuma_yamaguchi/01.html
参考URL(1):http://komugi1007.blog.fc2.com/blog-entry-319.html
地図:さいたま市緑区下山口新田の下山口弁天(厳嶋神社)

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