放送回 | No.0951(0599-A) |
放送日 | 1987年05月16日(昭和62年05月16日) |
出典 | 土屋北彦(未来社刊)より |
クレジット | 演出:フクハラ・ヒロカズ 文芸:沖島勲 美術:小出英男 作画:フクハラ・ヒロカズ |
ナレーション | 市原悦子 |
昔むかぁし、神さまが森や生き物たちを作ったばかりの頃の話です。
どの動物たちも皆、朝ツユを飲んで暮らしていました。ところがある時、カエルは朝ツユに飽きて不平を漏らし始め、他の生き物たちみんなに「皆もそうだろう?」とけしかけました。動物たちも不満に同調し、日中をだらだらと過ごすようになりました。
そんな様子をみた神さまが「そんなら明日、自分たちの食べる物を決めてやろう」と言いました。それを聞いた足の遅い虫や蛇たちは、夜がまだ明けきらない早い時間に、神さまのところへ出発しました。
寝坊して出発が一番遅くなったカエルは、ものすごい勢いで神さまの広場へ駆け出しました。その途中、足の遅い蛇に追いつき、蛇を蹴ったり踏んだりして「ほれほれ、俺の尻を舐めてみろ」と、さんざん馬鹿にしました。
ようやく広場に生き物たちが集まり、神様はそれぞれにふさわしい食べ物を決めていきました。カエルは「簡単に食べられるものが良いです」と主張したので、神さまは「ではカエルは虫を食べるがよい」と決めました。
次にヘビの番になると、またカエルが口を出し「ヘビは役立たずだから、役にたたない喰い物が良いよ」と言いました。神さまは「じゃあヘビはカエルを食べるがよい」と決めました。神さまは「生き物を食べて生きるという事は、自分も食われるという事だ。食べ物に感謝の気持ちを忘れるな」と、言い聞かせました。
こうして、生き物たちは自分たちにふさわしい食べ物が決まりました。それ以来、ヘビはカエルを見つけると、からかわれた時のように尻から飲み込むようになったそうです。
(紅子 2012-11-24 23:40)