昔ある所に、爺が雄鶏♂(おんどり)、婆が雌鶏♀(めんどり)をそれぞれ飼っていた。
ある日、卵が産めない雄鶏♂は家から追い出されてしまった。仕方なくとぼとぼ歩いていた雄鶏♂は、道端で巾着を拾い、「これを持って帰れば再び家に置いてくれるかも」と、考え急いで家に走った。
しかし、その様子を見ていた馬子(馬を引いた人)から巾着を奪われ、井戸の中に放り込まれてしまった。雄鶏♂は井戸の水を全部飲みほし、再び馬子を追いかけた。すると今度は牛小屋に放り込まれた。雄鶏♂は牛一頭を丸ごと飲み込み、再び馬子を追いかけた。今度は金持ちの蔵に放り込まれた。雄鶏♂は蔵の小判を全部飲み込み、再び馬子を追いかけた。馬子はとうとう巾着を返してくれた。雄鶏♂は巾着を持って家に帰り、今まで飲み込んでいた牛や小判を全部吐き出して、爺を喜ばせた。
それを見ていた欲張り婆も、自分の雌鶏♀に小判を持って帰らせようと家から追い出した。雌鶏♀が困って街道を歩いていると、馬の糞が落ちていたのでそれを飲み込み婆の元へ帰った。期待に胸をふくらました婆の前に、雌鶏♀は大量の馬の糞を吐き出した。怒った婆が雌鶏♀をゲンコツで殴ったので、そのショックで婆の雌鶏♀はもう卵を産まなくなった。
(紅子 2011-10-29 1:37)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 青森のむかし話(日本標準刊)より |
出典詳細 | 青森のむかし話(各県のむかし話),青森県小学校国語研究会、青森県児童文学研究会,日本標準,1975年02月15日,原題「きんちゃくひろったにわとり」,採録地「津軽」,文「鈴木政四郎」 |
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