| 放送回 | No.0932(0586-B) |
| 放送日 | 1987年02月14日(昭和62年02月14日) |
| 出典 | 市原麟一郎(未来社刊)より |
| クレジット | 演出:三輪孝輝 文芸:沖島勲 美術:三輪孝輝 作画:三輪孝輝 |
| ナレーション | 市原悦子 |
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むかし、土佐の高岡に積善寺(しゃくぜんじ)というお寺があり、薬師様とお不動様が祀られておりました。お不動様は銘こそありませんでしたが、運慶の作と言われておりました。
ある日、狩りに出かけた家老と二人の家来が、休憩をとるためにこの寺に立ち寄りました。家老はお不動様を一目見てとても気に入り、住職が止めるのも聞かず、お不動様を強引に持ち帰ってしまいました。
屋敷に帰った家老は、門の脇にお不動様をすえました。その夜は、家老は満足して酒を飲みましたが、夜空には急に雷鳴が轟き、嵐のような雨になりました。そうして、山崩れが起こり農家が三軒も土砂に埋まってしまったのです。
「お不動様の祟りじゃ。」と翌日村人達は噂しましたが、家老は「何が祟りか。わしの屋敷には何の変わりもないわ。」と笑っておりました。
その夜のこと、家老は不思議な夢を見ました。高い山の頂から真っ赤に燃えた男と馬が降りてきて、家老を追いかけ回すというものでした。
そのあくる晩のこと、家老は家来の家に招かれました。宴席で一人の家来が「昨夜、真っ赤な火を噴いた大男が馬に乗って空を飛ぶ夢を見た。」と言いだしました。すると、もう一人の家来も「飛ぶ火の玉」の夢を見たと言います。家老は少し気になりましたが、「たわいのない夢じゃ。」と笑い飛ばしました。
やがて夜遅く、家老が屋敷に戻って来ると、屋敷の門前で急に草履の鼻緒が切れました。そして家老が屋敷の門をくぐろうとすると、お不動様が格子破り火炎を吐いて家老の前に立ちふさがりました。
燃え上がる炎の中に怒りの表情で立つ不動明王を見て、家老は震える声で許しを請いましたが、炎はみるみる燃え上がり家老の屋敷を焼き尽くしてしまいました。
恐れ慄いた家老は、その日のうちにお不動様を積善寺に返したそうです。そうして積善寺のお不動様は前と同じよう薬師堂に収まり、薬師様と共にいつまでも村人達を見守り続けたということです。
(投稿者: ニャコディ 投稿日時 2013-2-28 23:44)
| 地図:土佐の積善寺の周辺(地図は適当) |