山の中にすごく立派な野生の馬がいるという噂を聞いた腕利きの猟師がそのすごい馬を仕留めてやろうと山に入る。
魔物や獣が入ってこられないように結界を張り、その中で焚き火をして寝ようとしたら、白いイモムシが結界の中に入り込んできた。
邪魔だと思って外へ弾き飛ばすたびに、虫は少しずつ大きくなって戻って来る。やがて仔牛ほどの大きさになった虫を気味悪く思った猟師は虫を火の中へ放り込んでしまうが、火の中で虫は白く美しい馬になった。
馬は呆然とする猟師をさらって空へ舞い上がった。猟師は落とされて殺されると恐怖するが、馬はやがて山の麓近くに猟師を下ろして何もいわずに山へ戻って行く。
あの馬は山の神で、それを仕留めようなんて不遜な考えを起こした自分を諌めたのだ、と反省した猟師は、自分の命を奪わなかった馬=山の神に感謝するのだった。
(引用/まんが日本昔ばなし大辞典)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 瀬川拓男(角川書店刊)より |
出典詳細 | 妖怪と人間(日本の民話07),瀬川拓男,角川書店,1973年4年20日,原題「怪しい虫」,伝承地「岩手県」 |
このお話の評価 | 6.13 (投票数 15) ⇒投票する |
⇒ 全スレッド一覧