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徳利亀屋(とっくりかめや)

放送回No.0902(0568-A)
放送日1986年10月04日(昭和61年10月04日)
出典東京のむかし話(日本標準刊)より
クレジット演出:こはなわためお 文芸:沖島勲 美術:安藤ひろみ 作画:小堤一明
ナレーション市原悦子
備考江戸麹町の亀屋という呉服屋との事。

あらすじ

昔、江戸の麹町に亀屋という名の呉服屋があった。

ある日、この亀屋に汚い身なりの爺さまがやって来た。爺さまは、自分は道具屋だと言い、店の軒先で商いをさせてもらいたいと亀屋の主人に言う。この亀屋の主人はなかなかの慈善家で気の優しい男だったので、この話を快く承知した。

ところがこの爺さま、道具屋と言いながら手に徳利を一つ持っているだけで、荷物らしいものは他に持っていない。どうやって商いをするのか亀屋の主人が見ていると、何と徳利の中から傘やら行燈やらの古道具がどんどん出てくる。そして、あっと言う間に軒先に古道具屋が出来てしまった。

驚いた主人は、爺さまにその不思議な徳利を見せてくれるように頼んだ。すると爺さまは、自分の家でゆっくり見せると言い、主人を立派な屋敷に招いた。爺さまが言うには、この徳利は持ち主の望みを何でも叶える徳利で、ちょうど主人のような優しい人に譲ろうと思っていたと言う。

こうして爺さまから徳利を譲ってもらった主人であったが、商いも上手くいっているし、望みと言ってもこれと言ってない。強いて言えば、日本の名勝や古跡を見てから死にたいというくらい。すると爺さまは、徳利の中に入れば日本全国を見て廻れると言う。

そこで主人が試に徳利の中に入ってみると、主人はいつの間にか、富士のふもと三保の松原に立っていた。こうして主人の旅は三保の松原に始まり、尾張名古屋、天の橋立、瀬戸内海、九州は桜島まで行き、そこから東に向かいとうとう松島まで見物した。

さて、そろそろ帰ろうかと主人が思うと、主人は見知らぬ桑畑の真ん中に立っていた。近くの農家に場所を訪ねると、ここは江戸から一二、三里離れた八王子だという。主人は急いで麹町に帰ったが、そこに自分の店は既になく、近所の人間も知らない人ばかり。

主人はがっかりして、また八王子に戻りそこで甲州街道沿いに徳利亀屋という宿屋を出したそうだ。そしてこの宿屋はたいそう繁盛し、近年まであったという。

(投稿者: やっさん 投稿日時 2012-9-28 14:49)


参考URL(1):http://hachimall.net/kao/kuronuma/kao/kao.html
地図:八王子市横山町14-8 黒沼鰹節店

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